親の精神疾患が子どもに与える影響:親、介護者、ならびに青少年と関わる人のためのガイダンス

Parental mental illness: the problems for children: information for parents, carers and anyone who works with young people


 

このリーフレットについて

このリーフレットは、親、教育関係者、児童・青少年のみなさんに向けて書かれた「こころの健康と成長」と題する案内書シリーズのひとつです。このリーフレットでは、子どもがおもらしをしたり便をもらしてしまう背後にある理由に目を向け、こうした問題の対処方法について、実用的なアドバイスを提供しています。

おねしょをする7歳のエミリーの場合

エミリーは、4歳頃には、夜におねしょをしなくなりました。そのまま数年経って弟が生まれてから、日常的に夜、おねしょをするようになりました(これは二次性夜尿症と呼ばれます)。両親は非常にストレスを感じ、エミリーがおねしょをすることに腹を立て、怠け癖や、親の気を引こうと反抗しているせいだと考えました。両親はエミリーを怒鳴ったり非難したりして、エミリーが悪いのだと決めつけました。そのため、エミリーは濡れた寝具を隠したり、普段より引きこもり、無口になってしまいました。

おねしょの原因となるような身体的な問題はありませんでした。両親は、おねしょをせずに順調に発達していたのに逆戻りするのは、怠け癖、気を引くためや反抗心というよりも、むしろ赤ちゃんが生まれるといった心理的な(場合によっては身体的な)ストレスに対する反応だろうと説明を受けました。
 
家族は、エミリーが就寝前に、飲み物、特に炭酸飲料やカフェインを含む飲み物の摂取を制限し、就寝前にトイレに行くという習慣をつけるようにしました。

排尿訓練を強化するのに役立つよう、エミリーは、おねしょをしたら自分で寝間着やシーツ類を変えることになりました。両親は、エミリーが夜おねしょをしないためにいろいろな努力をすることを褒め、励ましました。エミリーは、毎晩寝る前にはトイレに行き、濡れたパジャマやシーツ類を自分でちゃんと交換すると、ご褒美をもらえました。

エミリーが新しく弟ができたことに慣れるために、両親は毎日、エミリーが楽しめる遊びやお話をして一緒の時間を過ごしました。そして、エミリーが自分も赤ちゃんの世話をしていると思えるよう、いくつかの役割を分担してもらいました。

便失禁をする6歳のジャック

ごく小さい頃から、両親は、ジャックは「好き嫌い」が激しく、ポテトチップス、コーラ、フライドポテトやプロセス・チーズが好きなことに気づいていました。ジャックは便秘になり、便の水分が失われて硬くなり、排便時にはひどい痛みがありました。

ジャックはトイレに行くのがこわくなり、我慢するようになり、ました。そのために便はますます硬くなって腸に溜まっていき、液体状の軟便が便塊の周りから漏れ出て下着を汚すようになりました。ジャックはとても恥ずかしく、パンツをいろいろな場所に隠しました。このことで、父親と何度も言い合いになりました。父親にトイレに行けと怒鳴りつけられ、ジャックは、何をするにも両親の言うことを聞かなくなりました。むっつりとして、顔色も悪くなっていきました。

ジャックの治療は、かかりつけ医から処方された薬を服用して、硬くなって溜まってしまった便が出せるようにすることを目的に進められました。ごく簡単なチャート表を利用して、ジャックが水を飲み、健康的な食事をするようにしました。

学校の看護師は、ジャックがトイレに行きたくなるよう、排便トレーニングをしている間だけ特別なコミックやゲームをできるような場所にするよう、母親にアドバイスしました。ジャックの両親は、便秘や便失禁についてついて学びました。。

父親は、排便することそのものよりも、「がんばって排便しようとする」ことをほめることで、ジャックの排便習慣についての言い争いをなくす努力をしました。両親は、ジャックが薬を飲めば褒め、ご褒美として家族で外出しました。

ジャックの便失禁は改善され、家族も安心し、親子関係がとてもよくなりました。。

はじめに

遺尿症とは、排尿のコントロールができるはずの年齢になっても尿失禁をしたり、我慢せずに排尿してしまう場合に用いられる言葉です。昼夜いずれにも起こり得ます。

おねしょ(夜尿症とも呼ばれます)は、子どもが夜、寝ている間に排尿してしまうことです。おねしょは、2歳未満の子どもでは正常です。ほとんどの子どもは、2歳から5歳の間に、寝ている間に排尿しない感覚を養っていきますが、ある段階では、まだおねしょをしてしまう子どもがいます。

6歳になっているのにまだいつもおねしょをしている場合、「一次性夜尿症」と呼ばれます。いったんある程度の期間(例えば6か月間)おねしょをしなくなった後で、またおねしょをし始めた場合は、「二次性夜尿症」と言われます。

いずれの場合も、専門家に相談すべきです。

おねしょの原因は?

子どもが5歳を過ぎてもまだおねしょをする原因は、いくつかあります。

  1. 中には、単に成長が遅い子どもや、膀胱がいっぱいになった時に目を覚ますことがまだできない子どもがいます。
  2. 非常に疲れていて熟睡している時におねしょをしやすいようです。中には、いつもはおねしょをしない子どもも、このような時、あるいは体調が悪いとおねしょをすることがあります。
  3. おねしょは、子どもが寝る前に水分をたくさん摂ると起りやすいようです。膀胱は尿をためておくことができず、目が覚める前に空にしてしまうようです。
  4. おねしょをしていない時期があった子どもの場合は、おねしょが情緒面で不安定である兆候のことがあります。子どもが不安やストレスを経験してこともありますし、生活上の大きな変化(赤ちゃんが生まれた場合、学校に行き始めた場合など)への反応かもしれません。
  5. おねしょは、便秘、尿路感染症や「バソプレッシン」というホルモンの欠如によっても起こります。
  6. 片方または両方の親が子どもの頃におねしょをしていた場合は、子どももおねしょをしやすいようです。

 

おねしょが続くとどんな影響がありますか?

おねしょのために、子どもはお泊まり会、長期の休暇や旅行をあきらめてしまったり、自分がいまだにおねしょをしていることを、きまりが悪く、恥ずかしいと感じてこともあります。こういったことがあると、子どもの自尊心にマイナスの影響を与えます。

親や保育者は、子どものおねしょについて滅多に話題にしませんが、これは一般に、自分の子どもだけがこの問題を抱えていると考えているか、また、問題に対して何もできないという罪の意識や責任を感じているからなのかもしれません。


わざとやっているのでしょうか、それとも面倒くさがっているのでしょうか?

おねしょは、夜、子どもが寝ている間に「無意識に」排尿してしまうことです。つまり、これは不運な出来事であり、本人のせいではありません。決して子どもを責めてはいけません。子どもが自分はダメだと思ったり、羞恥心や不安を感じさせることは、問題への対処をより難しくするだけです。

私には何ができますか?

以下のことをまず試してみましょう:

  • 飲み物を飲むのは、通常、就寝の1時間前までにしてください。これ以降は、のどの渇きを抑えるために口に水を含ませる程度にします。炭酸やカフェインが入った飲み物は、腎臓を刺激して尿が多く作られてしまうので、避けます。
  • 毎晩就寝時にトイレに行く習慣をつけてください。膀胱を完全に空にできるよう、時間をかけて排尿させましょう。 
  • 時々子どもをベッドから連れ出して、トイレに座らせてみるとよいでしょう。。年長の子どもは、アラームを設定するなどして起こしてみましょう。
  • おねしょをしなくなるようにいろいろと試していることを、必ずほめて励ましてあげてください。おねしょをしなかった夜は、お子さんに「よくがんばったね」と言ってあげると、多くの場合、効果があります。
  • 夜おねしょをしないことにつながりそうな行動には、おねしょをしたかどうかにこだわらず、積極的にご褒美をあげるシステムをつくります。たとえば、次のようなときにご褒美をあげましょう:
    • 日中に適量の水分を摂ること
    • ベッドへ行く前あるいは寝る前にトイレに行って排尿すること
    • 一緒におねしょトレーニングに関わること(例えば、薬を飲むことやシーツ交換の手伝い)

良くならなかったら?

おねしょが続き、おねしょをしない夜が増えないようであれば、かかりつけ医、学校の看護師または訪問保健師に相談しましょう。力になって、アドバイスしてくれるでしょうし、必要と判断された場合は、小児科医や失禁ケア専門の認定看護師などの専門家に紹介してもらえます。

子どもがいったん夜おねしょをしなくなったあとでまたおねしょが始まった場合(二次性夜尿症)で、身体的な問題がすでに除外されているなら、かかりつけ医や学校の看護師から、地域の小児・思春期専門の精神保健サービスのスタッフと面談するよう勧められることがあります。

日中のおもらし

日中のおもらしは、5歳以上の子どもの約75人に1人に見られ、女児のほうが多いようです。日中のおもらしだけのことも、おもらしとおねしょの両方がある子どももいます。この問題は、学校に通う子どもにとって非常にストレスが強く、恥ずかしいもので、からかわれたりいじめにつながる可能性があります。

原因は?

さまざまな身体的・情動的な原因により、日中のおもらしが起こりえます。小さな子どもは特に、遊んだり何かをするのに夢中になり、トイレに行くのを単に忘れてしまったり、ギリギリになるまでトイレに行かずに間に合わなくなります。トイレに行ったときに慌てていたり、膀胱をちゃんと空にしないこともあります。

中には、便秘していることで膀胱が圧迫されたり、治療が必要な尿路感染症にかかっているために起こることもあります。子どもが不安を抱えているか、情緒的に混乱している場合にも起こり得ます。

何が役立ちますか?

実行できるものとしては、子どもに日中を通じて、水ベースの飲み物を約6−8杯飲ませることです。こうすることで、膀胱がきちんと充満します。また、便秘しないよう、健康的な食事をさせることも重要です。

おしっこを「我慢」したりトイレに行くのを忘れることがないよう、親は子どもがトイレに行く時間を決めて習慣づけます。タイマーや振動機能のある腕時計を持たせて、定期的にトイレに行きやすくするのもよいでしょう。子どもがトイレにきちんと行く気になるように、「星チャート表」を作り、1 日の終わりに、トイレに行ったり、おもらしをしなかったらちょっとしたご褒美をあげます。

もし、たまたま失敗してしまっても、怒ったり、怒鳴ったり、罰を与えたりしないようにします。子どもが既に不安を抱えているところへ、さらに恥ずかしさやバツの悪さを助長し、問題をさらに悪化させてしまうことになります。

問題が続くようなら、かかりつけ医か学校の看護師に相談しましょう。必要に応じて専門家を紹介してくれます。

便失禁

便失禁(遺糞症)は、子どもがうんち/便をしたくなったときにトイレを適切に使わない時に起ります。下着を汚したり、本来排便すべきでないところで排便したりします。

当然ながら、これは幼児や幼い子どもが、トイレで排便のコントロールの仕方を覚えているときには、普通のことです。しかし、便失禁が家庭での生活にマイナスの影響がある場合には、さらに応援を求めたくなるかもしれません。通常の環境では、健康な子どもは、4歳までに、排便できるようになります。

原因は?

子どもがうんちをしにトイレに行けるかどうかは、さまざまなことに影響されます。

  • よく見られる原因に、定期的にトイレに行く習慣がついていないことが挙げられます。また、トイレに行きたがらないのは、普段の行動パターンのひとつのこともあります。つまり、親が子どもにさせたいと思っていることを子どもは嫌がるのです。
  • 食生活の変化、感染、薬の服用、引越し、幼稚園への入園や家族内の変化など、生活上の出来事が便秘につながることがあります。
  • 深刻な便秘になると、腸に硬い便が詰まります。子どもは硬いうんちを排便すると痛いため、ますます便秘がひどくなります。液状の便が詰まった便の周りから漏れでて、下着を汚します。便秘している子どもは、短気になったり、元気がなくなったり、食欲が落ちたりします。
  • 子どもは、痛みと排便とを結びつけることがあります。怖がってうんちを出すまいとするため、便がより硬くなり、排便がより困難になります。こうしたことは、子どもが以前に、硬便がたまって、肛門に小さな裂けた傷ができた場合に起こります。これは「裂肛」と呼ばれ、強い痛みを伴います。

トイレの習慣がついていないためにうんちを漏らしてしまうのなら、子どもが努力したりうまくいったときには褒めてあげると、定期的にトイレに行く習慣をつけるのに役立ちます。保健師や、学校の看護師に支援を求めることもできます。星チャート表やシールを使うと、お子さんのやる気を引き出すことができます。罰するような対応はしないことです。

子どもが便秘していたり、排便時に痛みが伴うようなら、かかりつけ医に診てもらうのがよいでしょう。かかりつけ医は、詰まった便を取り除くための薬を処方してくれるでしょう。これと並行して、果物、野菜や食物繊維が多い食品を食べさせ、さらに運動させ、水をたくさん飲ませるようにすると効果的です。便が柔らかくなり、排便が楽になります。また、トイレに行く習慣づけ、星チャート表をつける、叱らないという対応が、役立ちます。

子どもが便秘していない場合、情緒的あるいは心理的な原因があるかもしれません。特にそれまで問題がなかったのに便失禁が始まったり、便をどこかに塗り付けるようなことがあれば、精神的に動揺している可能性があります。何が子どもを動揺させているのかが分かり、それを解決できれば、便失禁は改善するかもしれません。続くようであれば、かかりつけ医、地域の小児・思春期専門の精神保健サービス(Child and Adolescent Mental Health Service; CAMHS)を通じて専門家の助けを求めましょう。

さらなる情報

小児の失禁を改善するための教育および資料(ERIC; Education and Resources for Improving Childhood Continence)
両親や子ども、ケアに従事する人たちに、尿失禁(昼夜いずれも)に関する情報やアドバイスを提供します。
 
Daytime Wetting in Childhood – A Helpful Guide for Parents and Carers.  P Dobson著(2000年). ERICによって刊行された書籍。
 
NHS Choices
尿失禁(昼夜とも)や便失禁に関する情報がウェブサイトで見られます。
 
Handsonscotland
ウェブサイトを通じて、心配の種となるような行動に役に立つ実践的な情報や便利なツール、活動を紹介し、小児や若年の若者が、自分の可能性を十分見つけられるよう手助けします。

参考文献

National Institute for Health and Clinical Excellence (2010), Constipation in Children and Young People, Diagnosis and Management of Idiopathic Childhood Constipation in Primary and Secondary Care, London: National Institute for Health and Clinical Excellence.
 
National Institute for Health and Clinical Excellence (2010), Nocturnal enuresis: The Management of Bedwetting in Children and Young People. NICE Clinical guideline 111, London: National Institute for Health and Clinical Excellence.
 
Rutter, M. & Taylor, E. (eds) (2008) 'Child and Adolescent Psychiatry' (5th edn). London: Blackwell.
 
Wells, M. & Bonner, L. (2008) ‘Effective Management of Bladder and Bowel Problems in Children’ London:  Class Publishing

Translated by Reiko Hirai, Hisako Akanuma and Dr Nozomi Akanuma. August 2013.

© [2013] Royal College of Psychiatrists. This leaflet may be downloaded, printed out, photocopied and distributed free of charge as long as the Royal College of Psychiatrists is properly credited and no profit is gained from its use. Permission to reproduce it in any other way must be obtained from the Head of Publications. The College does not allow reposting of its leaflets on other sites, but allows them to be linked to directly.

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