ECTに関する情報

Information on ECT

 

このリーフレットは、ECT(Electro-convulsive therapy;電気けいれん療法)について詳しく知りたいと思っている人たちのために書かれています。ECTはどのように効くか、どうしてECTが用いられるのか、その効果と副作用およびそれに代わる治療法について説明しています。

ECTはさまざまな点から議論が分かれる治療法であり、ここでは対立する立場からの意見を説明しています。もしあなたの知りたいことに対する答えがこのリーフレットにない場合は、末尾に参考文献と他の情報源を載せてありますので、参照してください。

はっきりとしないことがある領域に関しては、さらに参照できるような他の情報元を載せてあります。重要なのは、ECTの効果と副作用、および ECTを他の治療法と比べてどうなのかといった点です。本稿を執筆した時点では、これらの参考情報はすべて、インターネット上で無料で利用可能でした。

ECTとは?

ECTは一部の重度の精神疾患に用いられる治療法です。もともと1930年代に開発され、1950年代、1960年代には広く様々な疾患・症状に用いられました。現在では、ECTはより少数の、より深刻な状態に限って用いられるべきであるということが明確になっています。

ECTは、脳に電流を通してけいれんを引き起こします-これが電気けいれんの名前の由来です。ちょっと聞いたところでは突飛に思えるかもしれません。脳に電流を流すことが精神疾患を治療するのに理にかなった方法であるなどと、誰が考え出したのでしょうか?このアイディアは、有効な薬がなかった時代の観察から生まれました。うつ病や統合失調症に合わせててんかんも持っている人の中に、けいれん発作があった後でうつ病や統合失調症の症状が良くなったように見える人がいたのです。研究によれば、ECTの治療効果は電流よりもけいれん発作によってもたらされると考えられています。

ECTはどの程度頻繁に使われるのですか?

今はそんなに頻繁ではありません。1985年から2002年の間にイングランドでは、ECTの使用は半分以下になりました、これはおそらく、うつ病の治療のためにより有効な心理療法や薬物療法ができたためと思われます。

ECTはどのように作用するのですか?

作用機序は明らかではなく、多くの説があります。

ECTは、脳の血流のパターンを変えます。また、うつ病によって影響を受ける脳の領域の代謝も変化させます。多くの医師は、重症のうつ病は、脳内の特定の化学物質に問題があるために起こると考えています。ECTはこれらの化学物質を放出させ、もっと重要なことには、それらの化学物質を働きやすくさせることで、うつ病の回復を助けると考えられています。

最近の研究によれば、ECTは脳の特定の部位で新しい細胞や神経ネットワークの成長を促進させるようです。

ECTは本当に効くのですか?

ECTが効くのはけいれん発作によるのではなく、発作を経験する人が受けるその他すべてのこと(特別な配慮や支援を受けること、麻酔など)のためであると言われてきました。

標準的なECTを「模擬」あるいは偽ECTと比較した臨床試験がいくつか行われました。模擬ECTにおいては、被験者はECTを受けるのとまったく同じ処置(ECT室への入室や麻酔剤や筋弛緩剤の投与を含みます)を受けますが、脳に電流は流されず、けいれん発作は起こりません。これらの試験では、標準ECTを受けた人は模擬ECTを受けた人よりも回復する可能性が高く、より早く回復しました。けいれん発作を起こさなかった人は、起こした人に比べて治療結果は良くありませんでした。

興味深いことに、「模擬」ECTを受けた人の多くも、非常に症状が重かったにも関わらず、回復しました。このことから、あらかじめ考えられていたように、特別の支援を受けることが有益であることは明らかです。しかし、ECTは重症のうつ病において、さらなる効果を及ぼすことが示されています。短期的にみると、薬物治療よりも有用であるようです。

 

ECTの利点とマイナス面

ECTが有用なのは?

国立健康および臨床卓越性研究所(The National Institute of Health and Clinical Excellence; NICE)はECTの使用を詳細に検討しました。その結果、ECTは重症のうつ病、薬物治療の効果が出にくい重症の躁病、あるいは緊張病にのみ用いられるべきであると述べています。

ECTは重症のうつ病で生命の危険があり、早急に治療効果が望まれる場合、あるいは、他の治療法で効果がなかった場合の急性期の治療法として考慮されるべきだとされています。中等度のうつ病の標準的治療法として用いられるべきではありません。

ECTが効かないのは?

ECTは軽度から中等度のうつ病や、その他の多くの精神疾患には有用ではないと思われます。統合失調症の一般的治療にはいっさい使われません。

他の治療法があるのにECTを行うのはなぜですか?

ECTは、重症のうつ病にはもっとも効果的な治療法であると示されています。通常、以下のときに使われます:

  • 数種類の異なる薬を試してみたものの効果がなかった場合
  • 抗うつ薬の副作用が非常に深刻な場合
  • 過去にECTが有用だった場合
  • 食事や水分を十分に取らず、生命に危険がある場合
  • 自殺を真剣に考えている場合

 

ECTの副作用は?

ECTは、処置としては重大なものです。数週間の間に、てんかん性けいれん発作を何回も起こし、麻酔が何回か導入されます。非常に具合が悪く、生命の危険が危ぶまれる重症の病気のある人に使われます。他のあらゆる治療法と同じく、ECTには多くの副作用があります。軽度なものも、より重度なものもあります。

短期的副作用

多くの人がECTの直後に頭痛や筋肉痛を訴えます。頭がもうろうとしたり、全般的に調子が悪いと感じたり、時には気分が悪いと感じる場合もあります。治療後に悲しくなったり、回復期に涙ぐんだり怖がったりする場合もあります。しかしたいていの場合、特に看護スタッフの助けや支援、簡単な鎮痛剤や軽い飲食物をとることで、これらの症状は数時間で落ち着きます。

ECTの直前・直後の記憶の一部が、一時的に失われる場合もあります。

年配の人では、治療後2~3時間は非常に混乱する場合もあります。これはECTのやり方を変える(脳の両側に電流を流す代わりに片側だけにするなど)ことで、抑えられることもあります。

全身麻酔による体への危険もわずかながらあります。約5万例に1例で死亡もしくは深刻な障害が起きる可能性がありますが、これは歯科治療における麻酔事故とほぼ同じ確率です。ただし、ECTは数回に渡るコースとして行われるため、ECT1コースあたりの危険性は約1万コースに1回となります。

長期的副作用

ある程度の記憶障害はおそらく、ECTを受けた人すべてに見られます。多くの場合、ECTのコースが終了し数週間たつと、これらの記憶は戻ってきます。しかし一部の人では、記憶がその後もずっと障害されたまま、あるいは二度と戻ってこないという訴えが見られます。これらのどの程度がECT によるものなのか、あるいはうつ病やその他の要因によるものかはわかっていません。

一部の人はもっと悲惨な経験、たとえば人柄が変わったり、それまでできたことができなくなったり、もはやECT以前の自分ではない、というような感覚を訴えています。その経験は克服できず、恒久的に傷つけられたと感じていると言います。

ECTの回数が増えれば増えるほど記憶機能への影響が大きくなるということでは、一般的に意見が一致しています。

ECTを受けないとどうなるでしょうか?

  • 回復までにより時間がかかるかもしれません。
  • うつ状態が非常に重症で食事や水分を十分にとってない場合、体の病気になったり、死に至るかもしれません。
  • うつ病が重症で他の治療を受けていない場合、自殺の危険性が高まります。

 

代わりとなる治療法にはどのようなものがありますか?

もしも重症のうつ病の人がECTを拒否した場合、代わりになる方法はたくさんあります。すでに試みられたかもしれませんが、薬の変更や新しい薬の追加、集中的な心理療法などが考えられます。重症のうつ病のいくつかの症状は時間がたてば自然に良くなるでしょう。ただし、重症のうつ病にはかなり高い自殺の危険性があります。

 

ECTを受ける(受けない)ことを決める

ECTを受けることに同意する

あなたは、重大な薬物治療や外科治療を受ける時と同様に、ECTを受けることへの同意(あるいは許可)を示すよう求められます。

ECT治療の内容、それを行う理由および期待できる効果と副作用が、わかりやすく説明されます。治療を受けることを決心した場合は、次に同意文書に署名します。これは、ECTについて説明を受け、それがどのようなものなのか理解し、ECTの施術に同意したことの記録となります。しかしどの時点でも、同意を撤回することができます。たとえ初回のECTの前であってもです。

どうしてもECTを受けたくない時は?

もしECTに対して非常に強い感情を持っている場合は、担当医や看護師だけでなく、あなたの意見を代弁してくれる友人、家族あるいはアドボケート(訳注:医療チームとは独立している活動しているスタッフで、あなたの権利擁護のためのサポートをしてくれます)にも知らせておくべきです。

医師は治療について判断する際、こうした意見を考慮しなければなりません。

ECTを受けたくないと明言している場合は、あなたがそれを受けることはありません。再び具合が悪くなった時にどのように治療してほしいかをはっきりさせておきたければ、「ECTを受けないとする事前指示書」を書くのもいいでしょう。あるいは、「健康と福利のための代理人(Health and Welfare Attorney)」を指名しておき、あなた自身ができない時にあなたに代わって決断してもらうこともできます。

ECTは本人の同意なしでも行えるのですか?

ほとんどのECT治療は、同意した人に対して行われます。つまり、以下のことがすでに検討されたことを意味しています:

  • ECTの内容についての十分な議論
  • なぜECTがこの場合に考慮されたか
  • 有益な点と不利な点.
  • 副作用についての検討

精神保健法(Mental Health Act)のもとで強制治療を受けている際でも、本人の意志に反してECTが行われることはありません。上記のような点についてきちんと話し合いを行いそれを記録しておくのは、治療に関わる医師や看護師の責任です。

しかし時として、本人の具合が悪くてこうした話し合いができないことがあります。ひどく引きこもったり、自分の立場について十分に理解できなくなるような考え(例えば、自分の病気は何かの罰であるというような考え)を持ったりするためです。

このような状況では、本人が適切な合意や同意を示すことは不可能でしょう。こうした場合でも、ECTを行うことは依然として可能です。このことに関する法律は国により異なります。英国内においても違いがあります。

イングランドとウェールズでは、精神保健法のもとでECTを行うことができます。これには二人の医師と、医師以外の専門家(通常はソーシャル・ワーカー)の合意を必要とします。さらにその後、本人の治療に直接関与していない独立した専門家によるセカンド・オピニオンを得なければなりません。医療チームは家族や他の介護者とも相談し、彼らの意見や、本人が以前にECTに対しての意見を示していた場合は、その意見についても考慮しなければなりません。

時に、本人にインフォームド・コンセント(説明を受けた上での同意)を示す能力がない場合、治療チームは、成年後見法(Mental Capacity Act:意思決定能力の判断および意思決定能力のない人の権利擁護についての法律)のもとでECTを行うかどうか決めることもありますが、これは稀です。たいていの場合は、精神保健法が本人の権利を保障するために最も適した法的枠組みです。本人に自己決定能力がなく、法に基づく「決定者(通常や治療を行っている精神科専門医)」が、ECTが「本人にとって最も良いと考えられる(best interests)」と考えた時にのみ、成年後見法のもとでECTが行われます。

「決定者」は、本人に関わる人たちを通して、本人に自己決定能力があるとしたらどうしたいと言うだろうか、できるかぎり理解しようとします。たいていは、家族や本人に近い人たちの意見を聞きます。決定者はまた、「可能なかぎりのすべての方法」をとって、本人が(もし可能なようであれば)自己決定能力を取り戻せるよう援助します。独立した専門家の意見を聞く義務はありませんが、治療チームは、別の精神科専門医のセカンド・オピニオンを求めることもあります。

どちらの法律(精神保健法または成年後見法)のもとでECTが行われるにせよ、本人の治療についての理解を定期的な評価することは必須です。いったん本人が同意能力を回復した場合は、ECT治療は本人が同意した場合にのみ続けられ、本人が拒否した場合には直ちに中止しなくてはなりません。

 

ECTはどのように行われるのですか?

ECTは一般に重症の病気の治療に使われますので、ECTを受ける人は多くの場合入院しています。しかし、入院の必要がなければ、外来治療で ECTを受けることもできます。地域の施設で外来ECT治療が可能かどうか調べてみるとよいでしょう。

特別なECT機器によって、注意深く調節された方法で脳に電流を通すことにより、けいれん発作が引き起こされます。

麻酔薬と筋弛緩薬は以下の目的で使われます:

  • ECT施術中、意識がないようにします
  • 通常は、筋肉のけいれんは発作の一部として起こり、重大な怪我につながる可能性があります。筋弛緩薬により、筋肉のけいれんは腕、脚および体の小さい規則的な動きに弱められます。

ECTチームは通電量を調整して、20〜50秒の長さの発作を引き起こすようにします。

 

ECT施術前にすることはありますか?

全身麻酔をかけても安全なことを確認するために、ECTが行われる前に以下の検査が行われます:

  • 胸部X線
  • 心電図
  • 血液検査

ECTを受ける6時間前から、飲食しないように指示されます。これは、麻酔を安全に行うためです。

 

ECTはどこで行われるのですか?

ECTは通常、「ECTスイート(専門室)」と呼ばれる、ECTのためだけに使われる特別な施設で行われます。待機、施術、麻酔からの覚醒、帰宅できるまでの回復と、それぞれの段階に合わせた別々の部屋が用意されています。

訓練されたスタッフが十分に配置され、すべての段階で、ECTを受ける人の混乱や苦痛を和らげる手助けをします。

ECTの間に何が起きるのですか?

  • 本人が以前から顔見知りで、ECTについて説明できる経験豊富な看護師と一緒にECT専門室に入ります。ECT専門室の多くは、家族も一緒に入れます。もしそれで安心できるなら、地域の精神保健チームに家族が付き添えるかどうか聞いてみるとよいでしょう。もしまだ健康状態のチェックを受けていない場合は、ECTスタッフがチェックを行います。スタッフはあなたがまだECTを受けることを望んでいて、何か質問があるかどうか確認します。
  • 用意ができると治療室に案内され、治療ベッドに横になります。
  • ECTチームはあなたに、心拍数、血圧、酸素レベル、心電図、発作中の脳波をモニターする機器を装着します。
  • 次に腕に注射針が刺され、麻酔科医が麻酔薬を注射します。あなたが眠ってから筋弛緩薬が投入されます。あなたが意識を失くして眠っている間、麻酔医は酸素吸入も行います。
  • あなたが眠って十分にリラックスしたら、医師はECT治療を施します。けいれん発作は約20秒から50秒続きます。筋弛緩薬はすぐ(数分以内)に効かなくなります。麻酔医があなたの意識が回復しつつあると判断したら、あなたは回復室に運ばれ、熟練した看護師が完全に目覚めるまであなたの様子を観察します。
  • 目覚めた時、あなたは看護師と一緒に回復室にいます。看護師はあなたの血圧を測り、どの程度目覚めているか確認するため、簡単な質問をします。指には小さなモニター機器がつけられていて、血液中の酸素を計測しています。目覚めたときは酸素マスクをしていることもあります。おそらく目覚めるにはいくらか時間がかかり、最初はどこにいるかはっきりとはわからないかもしれません。少し気分が悪い場合もあります。大体30分ほどでこれらの影響はなくなります。
  • たいていのECT施設には、軽食を摂るための部屋があります。スタッフがあなたの状態が安定していると判断し、自分でももう大丈夫だと感じたなら、帰宅してかまいません。
  • 全部の過程が終わるまでに通常30分ほどかかります。

 

両側性ECT、片側性ECTとは?

両側性ECTの場合、電流は脳全体を横断して流されます。片側性ECTでは、電流は脳の片側だけに流されます。両方とも脳全体の発作を誘発します。

両側性ECTのほうがより速く、良く効くようであり、おそらく英国ではもっとも広く使われています。しかし、副作用がより多く見られるという心配があります。

片側性ECTは今ではあまり使われません。両側性ECTに比べると記憶障害の副作用が少ないと考えられていたこともありました。しかし、最近の研究で、両側性ECTと同様の効果を得るにはより強い電流が必要だということがわかりました。同等の効果を得るために電流量を多くすれば、記憶障害の副作用の危険も両側性ECTと同等になります。

場合によっては両側性ECTで治療が開始され、副作用が現れた場合に片側性ECTに変更されることがあります。あるいは、片側性ECTで治療を開始し、良くならない場合は両側性ECTに変更する場合もあります。

両側性ECT、片側性ECTのどちらがあなたに適しているかを決めるには、ECTを勧めている医師と相談するのがよいでしょう。

ECTはどのくらいの頻度で何回ぐらい行われるのですか?

多くの施設ではECTは週二回、たいていは月曜と木曜、または火曜と金曜に行われます。その人にとって何回のECTが必要かをあらかじめ予想することはできません。しかし、一般的に、何らかの変化が見られるまでに2〜3回の治療が必要で、目立った改善が見られるまでには4〜5回の治療が必要でしょう。

1回のコースは平均6〜8回の治療ですが、特にうつ病が長引いている場合には12回必要となることもあります。もし12回の治療を受けた後でも良くなっていなければECTは効かないと思われ、コースは通常中止されます。あなたが治療にどのように反応しているのか、深刻な副作用が生じていないか確認するため、精神保健医療チームのスタッフが、毎回の治療が終わるたびにあなたを診察します。あなたを担当する精神科専門医は、2回の治療ごとに診察します。回復が見られた時、あるいはあなたがもうECTを受けたくないと言った時は、直ちにECTは中止されます。

ECTのコースを終了するとどうなりますか?

たとえ有効であるとしても、ECTはうつ病からの回復の一部分に過ぎません。抗うつ薬と同様、ECTは症状を軽くするので、あなたはなぜ自分の具合が悪くなったか見つめることができるようになります。願わくば、あなたは回復を続けるための段階を少しずつ踏んでいき、このような状況が二度と起こらないような方法を見つけられるようになるでしょう。心理療法やカウンセリングにより、回復のために自分自身でできることを見つけられる人が大勢います。ECTを受けてその後他の方法による援助を受けなかった人たちは、再び急に悪くなることが多いのは確かです。

 

ECTをめぐる論争

ECTに対する反対は多くの領域でみられます。果たしてECTを行うべきかという論争もあります。人々はECTに対して非常に強い思い入れがあることが多く、それは往々にして自身の経験に基づいています。意見の不一致が見られるのは主として、ECTの有効性、作用機序と副作用についてです。

なぜECTはいまだに行われているのですか?

ECTが使われることは以前よりかなり少なくなり、重症のうつ病の治療のために用いられることがほとんどです。これはまちがいなく、より近代化されたうつ病の治療法が以前よりも高い効果を挙げているためでしょう。心理療法(対話療法)、抗うつ薬やその他の心理的治療、社会的支援といったものが含まれます。

そうはいっても、うつ病は、一部の人々にとっては依然として非常に深刻で、生命を脅かす病気です。極端な引きこもり、飲食や他者との適切なやりとりに気が進まなかったり、まったくできなくなったりします。時には自分自身や他者についての奇妙な考え(妄想)が生じます。もし他の治療が効かなかった場合は、ECTを考慮するのは意義があることです。

当事者/患者さんはECTについてどう考えているのでしょうか?

2003年に、研究者たちによって患者さんのECT経験についてこれまで行われた研究の再検討が行われました。ECTを受けてそれが役に立ったと感じている人の割合は、30~80%と幅がありました。研究者たちは、低い満足度を報告している調査は当事者・患者によって行われており、高いものは医師主導の傾向があったと解説しています。30~50%の人が記憶障害を訴えていました。

ECTに対し肯定的な人の意見は?

多くの医師や看護師が、他の治療がうまくいかなかった時、ECTが非常に重症のうつ病の症状を軽快させたのを見たことがあると言うでしょう。重症うつ病を持つ人の15%が自殺することを考慮すると、医療者から見ればECTは彼らの命を救ったことになり、全体的な利益はリスクを上回っていると言えます。ECTを受けた人の中にはこれに同感し、もし再びうつ病にかかったときはECTを受けることを希望する人もいます。

ECTに反対の人の意見は?

ECTに反対する人は、多くの異なった見方、理由を持っています。ECTは非人道的で品位をおとしめる処置であり、過去のものであると言う人もいます。副作用が深刻であり、精神科医は偶然にせよ意図的にせよ、副作用がいかにひどいかを見落としているという意見もあります。ECTは脳と心に永久に残るダメージを与え、たとえ効いたとしても、究極的には本人にとって害になる仕方で効いていると言う人もいます。多くの人がECTが禁止されるよう望んでいます。

他の国ではどうですか?

今のところ、英国ならびに世界中の大多数の国において、ECTは精神科における標準的な治療の一部です。一部の国(および米国の一部の州)では、その使用を英国よりも厳しく制限していますが、禁止されているのは少数の国だけです。

地域でECTが適切に行われているかどうか知るには?

王立精神科医学会は、ECT治療施設の質を独立して評価するため、ECT認定サービス(ECT Accereditation Service; ECTAS)を立ち上げました。ECTASはECTにきわめて高い標準を設定し、登録したECT施設すべてを訪問して評価します。精神科医、麻酔科医、看護師から成るチームで訪問評価に当たり、評価の結果は公表されます。また、良質の医療実践(ベストクリニカルプラクティス)を共有するための討論の場を提供しています。ECTASへの登録は義務ではありませんが、どのECT施設も次のことをあなたに伝えなければなりません:

  • ECTASへの登録の有無
  • 最新の評価結果
  • 地域の施設がまだ評価を受けていないのが心配な場合の相談窓口

認定施設の一覧は、王立精神科医学会のホームページでご覧になれます。

どこでさらに情報を得ることができますか?

多くのECT専門施設では、独自の情報パックを用意していますし、治療コースが開始される前には、本人や家族、介護者に書面で情報提供しています。これらの情報パックに載っている情報はたいてい、ECTを強く支持するものです。

インターネット上には多くのウェブサイトがあり、専門家、団体、ECT体験者や他の特定の主張を持つ人たちがECTについて論じています。肯定的なものよりは否定的なウェブサイトのほうが多いようです。

さらなる情報

国立健康および臨床卓越性研究所(The National Institute of Health and Clinical Excellence; NICE)による治療指針
電気けいれん療法(ECT):うつ病、統合失調症、緊張病および躁病におけるECTの臨床有効性と費用効率(TA59 2003)
うつ病:成人におけるうつ病の治療と管理(CG 90 2009)

Scottish ECT Accreditation Network (SEAN)

SEANの役割を補完するために企画されたサイトで、スコットランドにおけるECTの最新情報を交換できる場を提供しています。

Electroconvulsive Therapy Accreditation Services (ECTAS)
2003年5月に設立されました。ECT施術の質の保証と向上を目的とし、基本的な標準に達している医療施設に対し評価認定を与えます。

参考文献

Ebmeier, K. et al (2006) Recent development and current controversies in depression. Lancet, 367,153-167
Eranti,S. V. & McLoughlin, D.M (2003) Electroconvulsive therapy - state of the art. the British Journal of Psychiatry 182: 8-9
Rose, D., Fleischmann, P., Wykes, T., Leese, M. & Bindman, J. (2003) Patients' perspectives on electroconvulsive therapy: systematic review
BMJ 2003;326;1363-1368
Scott A.I.F. (2004) The ECT Handbook (Second edition): The Third Report of the Royal College of Psychiatrists’Special Committee on ECT. Royal College of Psychiatrists: London
UK ECT Review Group. (2003)
Efficacy and safety of electroconvulsive therapy in depressive disorders: a systematic review and meta-analysis. Lancet 361: 799-808
Department of Health Statistical survey (2007) Electro Convulsive Therapy: Survey covering the period from January 2002 to March 2002, England. DH: London


Translated by Tatsuo Miyauchi, Hisako Akanuma and Dr Nozomi Akanuma. July 2013.

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