高齢者のうつ病

Depression in older adults

Below is a Japanese translation of our information resource on depression in older adults. You can also view our other Japanese translations.

この情報は、うつ病を患っている、あるいはその可能性があると思われる高齢者様と、その方達を介護する人々のために書かれています。

視点:

  • うつ病の高齢者が直面する課題
  • うつ病の兆候は高齢者ではどう違うのか
  • ケアを受けるための障壁
  • 詳細情報と支援

この資料において、「高齢者」とは65歳以上の方を指します。ただし、65歳以上の全ての方にこの情報が当てはまるとは限りません。

うつ病とは?

うつ病とは思考や感情に影響を与えるメンタルヘルス疾患です。一般的なもので、あらゆる年齢の方々に発症します。英国では毎週約100人中3人がうつ病と診断されています。

うつ病の症状は?

うつ病は単に悲しいと感じるだけではありません。あなたがもしうつ病なら、次のことが当てはまるかもしれません。

  • 不幸や絶望を感じたりまたは生きる価値がないと思ったりする
  • 不安またや心配を感じる。
  • 何をする気もしない。
  • 集中力や記憶力が低下している。
  • かつて楽しんでいたことに興味がなくなる。

身体的には次の兆候があるかもしれません。

  • 疲れやすいまたは落ち着かない。
  • 寝つきが悪い、または寝すぎる。
  • 頭痛または腹痛などの身体健康疾患がある。
  • 性的興味がなくなる。
  • いつもより食事を食べる量が少ない、または多い。

周囲の人は次の兆候に気づくかもしれません。

  • いつもより無口、不安そう、いらついている、または悲しそうに見える。
  • 集中力が低下している。
  • 睡眠時間が通常より長いもしくは短い。
  • 身体の痛みを訴える。
  • 家や自分の身の回りの事をしなくなる。
  • 周囲から孤立している、または孤独に見える。

うつ病には軽症、中症、重症があり、その症状は重症度によって異なります。あなた自身や他の誰かがうつ病を患っていることは、すぐには分からないかもしれません。うつ病に関する詳しい情報は、CBT情報リソースをご参照ください。

いつ助けを求めるべきですか?

誰もが時々、以下の感情を感じることがあるでしょう。しかし、この様な症状がある場合には、助けを求めることが重要です。

  • うつ病の数多くの症状が現れている。
  • その症状が2週間以上続いている。
  • それらの症状が、あなたの生活に支障をきたしている。
  • 生きている価値がないと感じる。

うつ病は新しい病気ですか?

うつ病は新しいものではありません。しかし以前は、精神衛生やメンタルヘルス疾患についてオープンに話すことは推奨されていませんでした。また、うつ病やうつ病患者に対する誤解や固定観念も非常に多くありました。うつ病を表現するのに使われた言葉の中には、汚名を着せるような思いやりのないものもありました。

長年にわたり、私たちはうつ病がなぜ発症するのか、どう治療するのが最善なのかについて、理解を深めてきました。うつ病やその他のメンタルヘルス疾患に関する汚名はまだ残っていますが、状況は以前よりずっと良くなっています。最近では、あらゆる年齢層のうつ病患者が利用できる支援策がたくさん考えられています。

高齢者がうつ病になるのはなぜ?

うつ病を発症する理由は、困難な人生経験や身体健康疾患または遺伝的因子などさまざまです。さらに詳しいうつ病の原因については、うつ病の資料をご覧ください。

また、高齢者がうつ病を患いやすい要因もいくつかあります。以下はその数例です。

身体健康疾患

高齢者の方は、複数の慢性的な健康上の問題に罹患している可能性が高くなります。そのためにうつ病が発生しやすいという研究結果もあります。

認知症

認知症は、記憶、言語、行動に影響を及ぼす疾患で、主に高齢者が発症します。認知症の患者さんの10人に3人は抑うつ状態にあると言われています。

パーキンソン病

パーキンソン病は、脳の働きに影響を及ぼす病気です。身体の震え、動作の鈍化、筋肉のこわばりといった症状を引き起こします。50歳以上の方に特に多くみられます。パーキンソン病の患者さんがうつの感情を持つことは珍しくありません。

孤独

孤独は、配偶者を亡くした人、病気を患っている人、または一人暮らしをしている人に多く見られます。しかし、お友人やご家族に支援される人でも、孤独を経験することがあります。孤独なことと、抑うつ状態にあることは同じことではありませんが、孤独を経験する高齢者はうつ病を患う可能性も高くなります。

死別による悲しみ

大切な人が亡くなったとき、死別による悲しみを抱くのは当然のことで、特にその人があなたととても親しかった場合はなおさらです。大切な人の死を完全に「乗り越える」ことは恐らく出来ないでしょう。しかし、死別による悲しみが長期間激しく続いたりまたは悪化していると感じたりする場合は、専門家の助けを要する必要があるかもしれません。

誰かが亡くなると、睡眠障害または食欲不振になる事もよく見られます。睡眠や食生活の変化も精神衛生に悪影響を及ぼします。

血管性うつ病

脳への血液循環に影響を与える病気は、うつ病を発症させる可能性が高まります。その中には、心臓病、脳卒中、高血圧またはコレステロールなどが含まれます。

アルコールの摂取

アルコールは脳の機能に影響を与え、うつ病のリスクを高めます。もう既にうつ病を患っている方は、アルコールがうつ病を悪化させる恐れもあります。

介護施設への入居

うつ病は、介護施設に入居している方のほうが、そうでない方よりも多くみられます。これは、介護施設に入居している方は、これまで述べたような要因をいくつか経験している可能性が高いからかもしれません。また、介護施設に入居すると、普段慣れ親しんだ日常生活や支援環境が失われることも原因のひとつかもしれません。

どんな治療がありますか?

うつ病は治療が可能です。その上、利用できる支援にはさまざまな種類があり、非常に効果的であることが研究によって明らかになっています。

あなたがもしうつ病だと感じたら、まずは一般開業医(GP)に相談することをお勧めいたします。おそらくそこで質問されるのは、最近のあなたの精神状態や、私生活における出来事などについてでしょう。問診票を使って、うつ病の有無や重症度を調べることもあります。

一度うつ病と診断をされたら、あなたが必要な援助を受けられるよう一般開業医(GP)は支援してくださるでしょう。

自助努力

うつ病が軽い場合、またはこの病気の経験が初めての場合、一般開業医(GP)は、あなたが自分で自分を支える事が出来る様に支援してくれるかもしれません。

NHSは、精神衛生と健康状態を改善するためにできる5つのステップを提案しています。そのステップを以下に示します。

  1. 人とのつながり:友人や家族、宗教の指導者など、あなたが信頼し尊敬している人なら誰でもかまいません。自分の気持ちを他の人に話すと、同じような経験を持っていることを知り、自分が思っていたほど孤独ではないことを知ることがよくあります。
  2. 体を動かすこと:近所の公園を毎日散歩したり、ダンスクラスに参加したり。活動的でいること、アルコールを控えること、禁煙すること、健康的な食事をすること、よく眠ることは誰にとっても良いことですが、うつ病を患っている方には特に効果的です。
  3. 新しいスキルを身につける:新しい料理を作ってみたり、新しい仕事を引き受けてみたり、または近くの講座に申し込んでみたり。そうすることで、自分に自信を持ち、人とつながることができます。
  4. 他の人に施す:これは、地域社会でボランティアをしたり、隣人や、自分の知識を駆使して友人の仕事を手伝ったりまたは友人に感謝の気持ちを伝えたりすることです。
  5. 注意を払う:これはマインドフルネスとも呼ばれ、自分自身や周りの世界に注意を向けることです。そうすることで、周囲とのつながりを深め、自分の思考や感情に振り回されにくくなるでしょう。マインドフルネスを実践するには、様々な方法があります。

これらの具体的な手順については、NHSのウェブサイトをご参照ください。

ソーシャル・プリスクリプション(社会的処方)

ソーシャル・プリスクリプション(社会的処方)は、人々が地域のサービスやグループにつながり、精神的あるいは身体の健康を支援するのに役立っています。

一般開業医(GP)は、あなたが興味のありそうな活動内容を探す手助けをしてくれる「リンクワーカー」を紹介するかもしれません。このような活動内容は、薬剤による治療または会話療法などのその他の治療と並行して行うことが可能です。

社会的処方の詳細については、当社のウェブサイトをご参照いただけます。

心理療法

自力で解決しようと試みてもまだ苦しんでいる場合や、うつ病が中等度または重度の場合は、一般開業医(GP)から心理療法を勧められる場合があります。

心理療法またはトーキングセラピーとは、セラピストと呼ばれる専門家と自分の感情について話し合うことです。心理療法にはさまざまな種類があり、その効果もさまざまです。どちらの方法を選択されるかは、あなたの必要性とあなた固有の生活環境によって決まります。

当社のウェブサイトで、さまざまな心理療法についてご覧頂けます。

最初は、見知らぬ人に自分のことを話すのは居心地が悪いと思うかも知れませんが、覚えておいてください。

  • セッションはすべて秘密厳守です。セラピストは、あなたが許可しない限り、あなたの友人または家族と情報を共有することは決してありません。ただ、あなたの情報が他の誰かと共有せざるを得ない可能性が、ある特定の状況でいくつかあります。詳しくは、メンタルヘルス疾患を持つ人のケアに関する資料をご覧ください。
  • セラピストはあなたを批判したり、あなたが何を話してもショックを受けたりしません。敬意をもって耳を傾けるのが彼らの仕事です。
  • 心理療法は効果的であることが示されており、チャンスを与えれば回復する可能性が高まります。

調査によると、高齢者のうつ病は、若年者よりも心理療法の恩恵を受ける可能性が高いそうです。このため、高齢者に心理療法を提供することが重要です。心理療法を受けた方がよいと思われる場合は、一般開業医(GP)に相談してください。うつ病の治療法については、うつ病の資料をご覧ください。

抗うつ薬

抗うつ薬は、うつ病の症状を改善する薬剤です。通常は1日1回、錠剤として服用します。一般開業医(GP)は、心理療法と同時に抗うつ薬を処方するかもしれません。

抗うつ薬にはさまざまな種類があり、一般開業医(GP)はあなたに合う抗うつ薬の種類を理解するためにあなたと話をします。場合によっては、複数の薬剤を服用する必要があるかもしれません。抗うつ薬の効果を感じ始めるまでには、通常1~2週間かかります。

高齢者が薬剤を服用する場合、若い人よりも低用量から始め、ゆっくりと増量する必要があるかもしれません。

認知症患者が抗うつ薬を服用することは可能ですか?

認知症の人が抗うつ薬を服用できない医学的理由はありません。

しかし、認知症患者ではそうでない方に比べて抗うつ薬の効果が低いという研究結果もあります。認知症患者は、過去にうつ病を患ったことがない限り、軽度から中等度のうつ病を管理するために抗うつ薬を提供されるべきではありません。

抗うつ薬には副作用がありますか?

他の薬剤と同様に、抗うつ薬も副作用を引き起こす可能性があります。副作用は、人によっては他の人よりも強く影響することがあり、副作用の種類は服用している抗うつ薬の種類によって異なるかもしれません。

薬剤を処方する人は、副作用の可能性についてあなたに情報を提供するべきです。処方医または薬剤師に副作用に関する文書情報を求め、注意深く読んでください。

過去に使用された抗うつ薬剤の中には、最近の薬剤よりも副作用が強いものがありました。過去に抗うつ薬を投与されたことがある場合、現在投与される抗うつ薬とは異なるかもしれません。以前に抗うつ薬を服用したことがある場合は、必ず医師に伝えてください。

不快な副作用が出たらどうすればよいですか?

抗うつ薬で不快な副作用があったり、効果がなかったりする場合は、一般開業医(GP)に相談してください。

通常、薬剤を処方した人に相談せずに服用を中止してはなりません。しかし、自殺願望やその他の重篤な副作用が出始めたら、抗うつ薬を中止し、緊急に助けを求めるべきです。薬剤を処方した人または一般開業医(GP)に連絡しましょう。

身の危険を感じたら、999に電話するか、救急外来(A&E)へ行きましょう。

抗うつ薬と副作用について、詳しくは当社のウェブサイトご覧ください。抗うつ薬の中止に関する情報もあります。

他の薬剤を服用している場合は?

他の薬剤を服用している場合、または他の健康問題を抱えている場合、特定の抗うつ薬を服用できないことがあります。あるいは、医師が通常以上にあなたを監視する必要があるかもしれません。他に服用している薬剤があれば、医師に伝えてください。

抗うつ薬が自分に合うかどうか分かりません

抗うつ薬の服用を始めるのは大きな一歩のように感じるかもしれません。それが自分にとって正しい決断なのかどうか迷うかもしれません。

抗うつ薬について、他の薬剤と同じように考えることは有益です。例えば、心臓に問題があり、医師からそのための薬剤をもらったとしたら、おそらく迷わずそれを飲むでしょう。

抗うつ薬について詳しく知ることは、十分な情報を得た上での決断に役立ちます。

抗精神病薬

抗精神病薬は、精神病やうつ病を経験している人や、強く不安障害を経験している人に投与されることもあります。

抗精神病薬を投与される際には、転倒、心臓障害、循環障害のリスクが高まることを医師から説明されます。抗精神病薬を服用している場合は、定期的に見直す必要があります。

実践的な支援

あなたの精神衛生は、たとえ関連性がないように見えても、あなたの人生における他の事柄と関連しているかもしれません。お金、住まい、介護、仕事、老後の問題はすべて、精神衛生に悪影響を及ぼす可能性があります。これらを解決することが、うつ病治療の重要な一歩になるかもしれません。

この資料の最後には、生活のさまざまな分野で支援を受けるのに役立つ情報がたくさんあります。

さらなる治療

うつ病が非常に深刻な場合は、専門の精神衛生サービスやチームを紹介されることもあります。多くの治療や支援が必要な場合や、自分自身や他の誰かに危険が及ぶ場合は、入院が必要になることもあります。抗うつ薬の代わりに、あるいは抗うつ薬と同様に、他の薬剤が処方されることもあります。

病状が重く、他の治療法が効かない場合、電気けいれん療法(ECT)が考慮されることもあります。電気けいれん療法(ECT)では全身麻酔をかけ、眠っている間に短い電気パルスで脳を刺激します。電気けいれん療法(ECT)は重度のうつ病の治療に成功することが示されています。

他の高齢者向けの精神衛生サービスとは?

高齢者の精神衛生サービスは、高齢者特有のニーズを考慮し、適切なケアを提供します。

メンタルヘルス疾患を患っている方が年を取った場合、人生に起こる変化を考慮する必要があります。高齢者は以下のような経験があるかもしれません。

  • 複数の健康問題
  • 虚弱(病気や怪我からの回復が難しい)
  • 死別による悲嘆反応やその他の損失

高齢者が認知症やその他の疾患を抱えている場合、不安障害やうつ病と混同されることがあります。高齢者向けの精神衛生サービスには、うつ病の診断を下す際にこのことを考慮する専門知識があります。

高齢者向け精神衛生サービスには、移動に介助が必要な人を支援する施設もあります。

高齢者向けの精神衛生サービスが必要とされるのは?

高齢者の精神衛生サービスを受けるかどうかは、年齢だけでなく、個々のニーズに基づいて決定されるべきです。以下の点を考慮すべきです。

  • 地元で利用できるサービスの種類
  • その他の健康上の問題
  • 虚弱のレベル

成人向けの精神衛生サービスから高齢者向けのサービスに移る場合、これまであなたを治療してきた人々は、新しいサービスがあなたのニーズを理解していることを確認する必要があります。ニーズには次のようなものがあります:

  • 治療歴
  • 希望
  • 利用可能な支援システム
  • 個人的な履歴

ケアハウスに住んでいる場合は?

ケアハウスに入所している方は、他の方と同じように精神衛生の支援を受ける権利があります。もしあなたがケアハウスに入所している場合、以下を想定してください。

  • あなたは、身体健康や精神衛生を促進する活動を提供されるべきです。
  • ケアハウスのスタッフは、利用者が精神衛生の問題を抱えているかどうかを知るための訓練を受けるべきです。
  • 特定された精神衛生の問題は、個人ケアプランに記録されるべきです。

ケアハウスに入所していない方に比べて入所している方のほうが、うつ病が一般的です。あなたがうつ病を患い、かつ、ケアハウスに入所している場合、受ける権利があるとされている高水準のケアを受けることが重要です。定期的に薬剤を見直し、副作用を注意深く考慮する必要があります。

ケアハウスで精神衛生療法を受けるには?

一般開業医(GP)を通じて

ケアハウスに住んでいる場合は、一般開業医(GP)に登録する必要があります。あなたには一般開業医(GP)を選ぶ権利があります。以前の一般開業医(GP)診療所に留まるか、ケアハウスと連携している診療所に移るかを選ぶことができます。

ケアハウスに入所していて、精神衛生の問題を抱えている場合は、一般開業医(GP)に相談してください。一般開業医(GP)は、気分に悪影響を及ぼしうる他の身体健康疾患を除外するよう努めるべきです。

ケアハウスのスタッフを通じて

ケアハウスのスタッフは、カウンセリングなどの心理的支援を提供する訓練を受けていることもあります。ケアハウスのスタッフが、あなたがより強力な支援を必要としていると感じたり、メンタルヘルス疾患を抱えていると感じたりした場合、あなたやあなたの介護者は一般開業医(GP)に相談することができ、その医師はケアハウス専門のリエゾンチームに紹介することができます。

ほとんどのケアハウスには「リエゾンチーム」があり、認知行動療法(CBT)や精神力動療法などの心理療法を提供しています。

慈善団体AgeUKはケアホームに関する情報を提供し、慈善団体CarersTrustはケアホームにいる人の介護に関する有益な情報を提供しています。

高齢者が必要な支援を受けられない場合は?

高齢者がうつ病の支援を受けるのが困難な理由がいくつかあります。

うつ病以外の健康問題

別の健康問題を抱えている場合、うつ病を発症しているかどうかを判断するのは、本人にとっても医師にとっても難しいかもしれません。

うつ病は、他の精神的あるいは身体健康疾患な健康問題と混同されることがあります。例えば、うつ病で起こりうる記憶障害は、認知症と間違われることもあり、その逆もあります。

うつ病になると、薬剤を飲んだり予約の日時を守ることも難しくなるかもしれません。その結果、身体の健康が悪化し、うつ病を悪化させるかもしれません。

固定観念

残念ながら、高齢者に対して有害な固定観念を持っている人もいます。例えば、高齢者はいつも疲れていると感じるのが普通だとか、孤独は年を取るにつれて当たり前だ、と考える人もいます。

このような固定観念を持っている人は、知り合いの高齢者が抑うつ状態にあることに気づきにくいかもしれません。うつの感情は年をとっただけで湧くものではありません。あなたは、何歳であろうと助けや支援を受ける資格があります。

「何年も前、老齢年金受給者という言葉を、高齢者という言葉に変えて、ラベルを変えようとした。しかし現実は、ラベルを変えることではない。人々を同じように扱うということなんだ」:バーニー

スティグマ(汚名)

昔は、メンタルヘルス疾患とそれを患う人々は、現在とはまったく異なる扱いを受けていました。過去にうつ病患者について否定的なことを聞いたことがある人なら、現在、うつ病の治療を受けるのは難しいと感じるかもしれません。うつ病は一般的で、治療可能であり、あなたには助けを求める資格があることを忘れてはなりません。いろんな人がうつ病になります。人間性を反映しているわけではありません。

うつ病を人生の一部と捉える

抑うつ状態にあるに慣れていると、助けを求めても意味がないと思うかもしれません。難しいと感じても、助けを求めるのが早ければ早いほど、回復に向かうのも早くなります。

技術的障壁

現在、一般開業医(GP)の予約の一部は電話やオンラインで行われています。高齢者の中には、デジタル技術を使いこなすのが難しいと感じる人もいるし、直接会って物事を進めることを希望する人もいます。また、電話やオンラインでデリケートなことを話すのは難しいかもしれません。

また、医師が電話だけでうつ病かどうかを判断するのは、難しいことです。うつ病を感知するには、対面でのアポイントメントが必要かもしれません。

友人や家族はどのような支援をしてくれる?

知り合いの高齢者がうつ病になった場合、どのように手助けすればいいのかわからないことがあります。うつ病の高齢者を支援する際に考慮できることいくつかを紹介します。

繊細なコミュニケーションをする

うつ病を体験している人に、何と言えばいいのか分からないことがあります。あなたができる最も重要なことは、誰かの話に耳を傾け、助けを求めるよう励ますことです。

否定的に受け取られるような発言は避けるべきです。例えば、「乗り越え」られるよと言ったり、他の人はもっと酷な目に遭っているよと言ったりすると、うつ病を体験している人は助けを得ることが難しくなります。

個人を忘れない

人生経験、価値観、興味など、その人をユニークにしているものはすべて、年を取っても消えることはありません。知っている人を一人の人間として見ることで、その人をよりよく支援できるようになります。

自立を奨励する

高齢者の中には、サービスの利用や介護の管理など、特定のことに関して支援が必要な人もいるかもしれませんが、あなたが知っている人がどうすれば自立を維持できるかを考えることが重要です。あなたがどのようにケアに関与し、彼らが自分でできるように手助けできるかを理解するために、彼らと協力してください。

文化の違いを考慮する

あなたが知っている人が他国で育った、あるいは他国で暮らした、あるいは異なる言語を話す場合、考慮すべきことがいくつかあります。

  • コミュニケーションの障害:あなたの知人が英語を話せないか、英語を最も使いやすい言語としていない場合、医療専門家とのコミュニケーションに苦労するかもしれません。自分のニーズをより明確に伝えることができるように、専門の通訳をつけるべきです。そのためには、予約にもっと時間を割くべきです。
  • スティグマ:メンタルヘルス疾患に対する考え方は、文化や世代によって異なります。あなたが知っている人が、メンタルヘルス疾患に偏見がある場所や時代に育ったなら、助けを求めるのに苦労するかもしれません。精神教育(自分のメンタルヘルス疾患について学ぶこと)は役に立ちます。また、宗教指導者やコミュニティ・グループの支援が役に立つかもしれません。
  • ピアサポート:誰もが、自分と同じような文化的経験を持つ人々と話すことで恩恵を受けることができます。知人が同じ民族や文化的背景を持つ人々と知り合えるグループが近くにあるかもしれません。お近くのピアサポートとそのサービスの種類については、「ザ・マインド」のウェブサイトをご覧ください。
  • 記録へのアクセスに問題がある:あなたの知人が外国に住んでいて、そこで介護を受けていた場合、その記録を入手するのは難しいかもしれません。

もし私が介護者だったら?

介護者とは、自分の世話が難しいために他人の世話をする人のことです。介護者は、実際的、精神的、経済的な支援を提供することができ、介護する人の医療ケアに関わることもあります。

介護者であることは非常に困難なことです。介護者として、怒り、罪悪感、心配、悲しみなど、さまざまな相反する感情を経験するかもしれません。

介護者であることはやりがいにもつながります。介護者の多くは、介護する人と非常に親密な関係を築き、重要な実践的・感情的スキルを学びます。あなたの経験や感情が何であれ、それは正当なものです。

介護者として、あなたが介護する人を支援するためにできることはたくさんあります:

  • 必要なときに助けを求めるよう促す
  • ケアにどれだけ関わってほしいかを理解するために、患者と協力する
  • 医療を提供する人々と良好な関係を築く
  • 緊急時の行動計画を立てる

また、自分自身を支援するためにできることもあります。

  • ストレスや悩みを信頼できる友人や家族に打ち明ける。
  • 自分の精神衛生に気を配る。介護する人の世話をするのと同じくらい重要であり、双方にとって有益です。
  • 友人やプロの介護サービスの助けを借りて息抜きをする。
  • 介護者評価や職場調整などの支援を受ける。
  • 他の介護者と会って支援を受ける。
  • 将来の計画を立てる。
  • 受給資格のある給付金を申請する。

介護している人を「治す」のはあなたの責任ではないことを覚えておくことが重要です。

介護者としての役割については、メンタルヘルス疾患を持つ人の介護に関する資料をご覧ください。

「介護者として計画を立てる必要がある。数週間先だけでなく、数年先までね。」 ソフィア

詳細情報

うつ病に関する情報

介護者向け情報

その他の高齢者向け情報

うつ病に関する英国国立医療技術評価機構(NICE)からのご案内

出典

この情報は英国王立精神医学院のパブリック・エンゲージメント編集委員会(PEEB)により制作されたものです。執筆時点での利用可能な最良のエビデンスを反映しています。

専門家執筆者:マノジ・ラジャゴパール博士、カピラ・サチデブ博士、クトゥブ・ジャマリ博士

この資料の作成に協力してくれたうつ病の体験者に感謝します:バーニー、フィリップ、ソフィヤ・オパシックこの資料には、彼らの体験の一部が引用されています。

ご要望があれば、文献をお送りします。

© Royal College of Psychiatrists

This translation was produced by CLEAR Global (Dec 2023)

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