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    持効性抗精神病注射製剤(デポ剤)

    Long-acting injectable (depot) antipsychotics

    Below is a Japanese translation of our information resource on long-acting injectable (depot) antipsychotics. You can also view our other Japanese translations.

    ここで取り上げる内容は、持効性注射剤(デポ剤とも呼ばれる)による抗精神病薬の投与について詳しく知りたい方向けに書かれています。ここでは、この薬剤の内容や作用、ご自身に合った適切な選び方を見ていきます。

    持効性注射剤による抗精神病薬の投与とは

    持効性抗精神病注射製剤は、抗精神病薬の投与のための特殊な調剤です。投与は注射で行われます。

    この注射には、抗精神病薬と基剤が含まれています。基剤は油性または水性で、時間をかけて薬剤を放出させる働きがあります。

    持効性抗精神病注射製剤は、別名「デポ剤」と呼ばれています。これは、注射によって、注射した筋肉内に薬剤の貯蔵庫(デポ)が作られるためです。その後、それが数週間から数か月にわたって体内に少しずつ放出されていきます。

    注射で投与できる薬剤にはさまざまな種類のものがあります(例:糖尿病薬のインスリン)。しかし、この資料では特に持効性抗精神病注射製剤について述べます。

    持効性抗精神病注射製剤を使用する目的

    持効性抗精神病注射製剤は、精神病の症状の治療に使われます。主に次の治療に使用されます。

    • 統合失調症
    • 統合失調感情障害
    • 双極性障害

    持効性抗精神病注射製剤は、重篤なうつ病など、他の疾患に伴って精神病の症状が現れている場合にも、治療で使われることがあります。持効性抗精神病注射製剤を医師が勧める理由がよくわからない時は、その薬剤がなぜ有効だと考えられるのか、医師に説明を求めましょう。

    持効性抗精神病注射製剤を使用している間、他の薬剤を併用する場合もあるかもしれません。例えば、統合失調感情障害がある場合は、気分安定剤も使用する可能性があります。これは、錠剤または液剤として服用することになります。

    持効性抗精神病注射製剤と他のタイプの抗精神病薬との違い

    持効性注射剤として体内に投与される薬剤は、錠剤として体内に投与される薬剤とまったく同じものです。唯一の違いは以下の通りです。

    • 薬剤が体内に入る経路
    • 投与する薬剤の量。これは、薬剤が時間をかけて少しずつ放出されるため、より多くの量が必要になることによります。

    つまり、デポ剤の注射の効果と副作用は、内服薬の場合と同じになります。

    持効性抗精神病注射製剤を投与されるとどうなるか

    通常、持効性抗精神病注射製剤を投与する時は、看護師や医師と個室に入ります。注射は、薬剤の種類によって腕、太もも、またはお尻に行うのが普通です。

    注射をするたびに、薬剤は数週間から数か月間体内に留まります。この期間は、使用している抗精神病薬の種類や量によって変わります。

    持効性注射剤を初めて使うとき、どうすればよい?

    持効性抗精神病注射製剤を初めて投与する時は、事前に次のいずれかが必要になることがあります。

    • 試験投与―これは、薬剤や油性基剤に過敏に反応することがないかを確認するために、1回限り行われる注射です。試験投与に対して過敏さが見られない場合、通常は7日後に、初回の治療に必要な規定量が投与されます。
    • 速効性注射剤―これは、1日目とその翌日にわたって1回または2回投与される薬剤です。この製剤には持効性注射剤と同じ成分が含まれていますが、体内で徐々に放出されるのではなく、直ちに放出されます。これらの注射剤を使用しても副作用が見られなければ、治療に必要な規定量が投与されることになります。
    • この薬剤の錠剤タイプ

    その薬剤や油性基剤に過敏さが見られる場合は、使用している薬剤に関連する一般的な副作用が現れやすくなる可能性があります。これらの副作用については、当サイトの抗精神病薬に関する資料で詳しくご確認いただけます。または、アレルギー反応が出る可能性もあります。

    試験投与を行うことで、担当の医療従事者は問題点を特定し、治療計画を調整するお手伝いが可能になります。

    持効性注射剤をお尻・太もも・腕のいずれかに投与する理由

    注射液に含まれる物質の中には、かなり粘り気の強いものもあります。そのため、痛みや腫れを最小限にする(あるいは全く起こさない)ため、大きな筋肉に注射する必要があります。お尻、太もも、あるいは腕のどこに注射を打つのが最適かについては、医師や看護師に相談してください。

    一部の薬剤は特定の部位にしか使えません。そのため、あなたが選べる部位が限られることがあります。

    注射はどこで受けられるか

    入院していない場合は、どこで注射を受けるかをご自身で決めることができるのが普通です。次の中から選ぶことになると考えられます。

    • かかりつけの医師 
    • 地域のメンタルヘルスセンター
    • 外来クリニック
    • ご自宅

    注射の種類によっては、投与後に経過観察が必要になることがあります。そのため、これに備えて、注射を受けるために特定の場所に行く必要が出てくる可能性もあります。これについては、担当の医療従事者と相談してください。

    注射を受ける頻度・効果が持続する期間

    持効性注射剤は、週1回から6か月に1回の頻度で投与する必要があります。最も一般的な頻度は、4週間ごとの注射です。

    この注射の効果が持続する期間は、ご自身の病気や使用している薬剤によって変わります。これに関しては、担当医と相談してください。

    使用している薬剤について詳しく知りたい場合は、薬剤師に相談するか、薬剤に同梱されている「患者情報リーフレット(PIL)」をお読みください。持効性注射剤を使う際に、医師や看護師からこれを受け取れるはずです。また、薬剤を選ぶ前や注射を受ける時に、これを読んでもらうよう頼むこともできます。

    持効性注射剤の効果が現れるまでの時間

    持効性注射剤は体内でゆっくりと放出されるため、十分に効果が現れるまで少し時間がかかることがあります。錠剤の抗精神病薬を服用していた場合は、持効性注射剤を使い始めてからしばらくの間、錠剤の服用を続けるよう指示されることがあります。これは、持効性注射剤の効果が完全に現れるまで続きます。錠剤を飲む必要があるかどうかは、薬剤を処方する医師から説明があります。

    どの持効性抗精神病注射製剤が自分にとって最適か

    薬剤を処方する医師が、あなたと相談しながら、最適な持効性注射剤を判断していきます。

    すべての持効性抗精神病注射製剤が、有効性の上では概ね似ています。しかし、異なる抗精神病薬の錠剤と同様に、それらの効果には若干の違いがあります。例えば、非常に興奮している時は、ズクロペンチキソールが適している可能性があります。あるいは、ご自身の病気に伴って気分の落ち込みがある時は、フルペンチキソールが合っているかもしれません。

    また、薬剤にはそれぞれ異なる副作用があります。このことは、使うべき薬剤をあなたと担当医が決める時に大切な情報になり得ます。

    抗精神病薬の種類によって、投与の頻度は変わります。例えば、あるものは4週間ごとに投与が必要な一方で、別のものは3か月ごとに投与する必要があることが考えられます。こうしたことが、使用する抗精神病薬を決める時に大切な情報になり得ます。

    持効性抗精神病注射製剤は、同意する能力のない人にのみ使われるのか?

    「持効性抗精神病注射製剤は、精神的不調が深刻で治療への同意ができない人にのみ投与される」という誤解が広く見受けられます。

    病状が重く入院中の場合に、持効性抗精神病注射製剤の投与が必要となる人もいます。あるいは、病状がかなり重いために、治療への同意ができない場合もそうです。

    しかし、仲には錠剤などの他の方法ではなく、持効性抗精神病注射製剤を選択する人もいます。

    持効性抗精神病注射製剤を使用するプラス面とマイナス面

    持効性抗精神病注射製剤の処方を受けるプラス面とマイナス面には、次のようなものが挙げられます。

    プラス面

    • 薬剤を毎日飲み忘れないように気をつける必要はありません。
    • 薬剤の飲み忘れが少なくなれば、病気になる可能性も低くなります。
    • 持効性注射剤に含まれる薬剤は、使用中止後も錠剤より長く体内に残ります。そのため、再発(病状が再び悪化すること)が生じにくくなります。
    • 錠剤を飲み込みにくい場合に、これらの抗精神病薬が役に立つことがあります。
    • 持効性抗精神病注射製剤が、統合失調症や統合失調感情障害などの精神病性障害の再発を予防することを示す強力な証拠が見つかっています。このことから、仕事や人づきあいなど、調子を崩す前にしていたことに戻りやすくなるでしょう。

    「月1回、注射を受けるほうが楽です・・・特に、自分の睡眠リズムを考えると。夜に出かけて誰かの家に泊まることになっても、錠剤を飲んだかを気にする必要がありません。手間を考えると、一般開業医で月1回注射を受ける方がずっと楽です。」マイケル

    マイナス面

    • 注射を打つと思うと不快に感じるかもしれません。それには、注射針への不安から、注射を受けること自体への漠然とした抵抗感まで、さまざまな理由があるでしょう。注射を受けることが、錠剤を飲むことよりも「おおごと」のように感じれられるのも無理はありません。
    • 持効性注射剤は、同じ薬剤の錠剤より効果が長く持続します。薬剤を使用する時間、使用しない時間を自分でコントロールしにくくなることも考えられます。これは健康に有益である一方で、セルフケアをしている感覚が少し失われたように感じられることもあるでしょう。
    • 注射で痛みを感じる人もおり、その痛みは数日間続くこともあります。この痛みは、通常は軽度のものです。

    持効性注射剤を使用するかどうかは個人の判断で決めることです。どのような気持ちを抱いても、それはすべてもっともなことです。

    持効性抗精神病注射製剤の副作用

    持効性抗精神病注射製剤の副作用は、同じ薬剤の錠剤タイプと同じです。これは、どちらも同じ薬剤を含んでおり、作用も似ているためです。

    ただし、この注射には一時的な副作用がいくつかあります。およそ10人に1人が次のような症状を経験しています。

    • 痛み
    • 注射部位からの軽度の出血
    • 注射部位の一時的なしこりや皮膚の肥厚

    一部の持効性抗精神病注射製剤は、従来型の抗精神病薬に分類されます。これらは「第1世代」抗精神病薬とも呼ばれ、次のものが含まれます。

    • フルペンチキソールデカン酸エステル
    • ハロペリドールデカン酸エステル
    • ズクロペンチキソールデカン酸エステル

    新規、または「第2世代」の抗精神病薬には、次のようなものがあります。

    • リスペリドン
    • パリペリドンパルミチン酸エステル
    • オランザピンパモ酸エステル一水和物
    • アリピプラゾール

    すべての抗精神病薬がこのリストに含まれているとは限りません。新しい薬剤はいつでも登場する可能性があります。これらの薬剤には、それぞれ異なる「ブランド名」があることに留意しましょう。

    従来型の抗精神病薬は、新規の抗精神病薬に比べて副作用を起こしやすくなります。これらの副作用は薬剤によって異なりますが、手足のこわばりや震えなどが生じることがあります。これらの薬剤の錠剤タイプについても同じことが言えます。

    筋肉ではなく、静脈に誤って注射が打たれてしまうことがあります。このような事態が発生した場合、または注射を行った担当者がその可能性があると判断した場合は、副作用が現われていないことを確認するため、病院へ行って経過観察を受ける必要があります。

    「患者情報リーフレット(PIL)」には、使用している薬剤で最もよく見られる副作用が説明されているはずです。

    副作用を回避するためにできること

    定期的に注射を受けることは、初めは不快だったり、気が重く感じられたりすることもあるでしょう。しかし、多くの人はその手順に慣れていき、時間が経つにつれてより快適に感じられるようになるようです。注射を受けることに不安やストレスを感じる場合は、看護師や医師に相談してください。

    また、毎回注射する部位を変えることで、定期的な注射による身体的な不快感を軽くすることができます。

    持効性注射剤は、種類によって投与する間隔が違います。例えば、あるものは毎週、あるものは2週間ごと、あるものは6か月ごとに投与されます。注射が痛いと感じる場合、打つ頻度を減らすことができる薬剤を使用してもよいでしょう。

    不快な副作用が現れた場合は、担当の医療従事者に次の方法を選べるかを相談してください。

    • 使用する薬剤の量を減らすこと。担当医が、副作用を最小限に抑えられる投与量を見つける手助けをするでしょう。
    • 副作用が少ない別の抗精神病薬を使用する。

    入院すると持効性抗精神病注射製剤の注射を打つことになる?

    精神保健法(日本の精神保健福祉法に相当)の規定に基づき入院することになった場合、ご自身が望まなくても、医師があなたに治療を受けさせる可能性があります。これには、持効性抗精神病注射製剤の使用が含まれる可能性があります。

    しかし、これについて医師はあなたと話し合い、治療への気持ちや意見に配慮してくれるはずです。

    3か月を経過した後もあなたが治療を望まない場合、病院は法律により、独立した立場の第三者の医師に診察を依頼する必要があります。その医師が、その薬剤を使い続ける必要があるかを判断します。

    持効性抗精神病注射製剤は効き目があると感じる人もいます。場合によっては、病状が悪くなった時に持効性注射剤を使用することを「前もって決めておく」人もいます。その場合は、後で病状が悪くなり、意思決定が難しくなった場合にどうしてほしいかを誰かに伝えておくか、書き留めておくことになります。

    注射を忘れたらどうなる?

    注射を受け忘れた場合は、できるだけ早く次の注射を受けてください。そうしない場合、しばらくすると薬剤の効果が切れて、再び病状が悪化する可能性があります。

    再び病状が悪くなってきた場合、以前体調を崩した時と同じ症状が出始めることも考えられます。例えば、声が聞こえたり、不安や苦悩を感じたりすることなどです。

    持効性抗精神病注射製剤の投与が心配なとき

    持効性抗精神病注射製剤を使用している間は、通常、数週間おきに医療従事者の診察を受け、注射を受ける必要があります。これは、どんな心配でも、彼らと話し合う絶好の機会となるでしょう。

    また、医師や看護師、担当者に相談してみるのもよいでしょう。彼らはあなたを安心させてくれたり、特定の治療法を行うことになった理由について、有益な説明をしてくれたりするでしょう。

    また、他の治療法を一緒に考えてもらえるかもしれません。薬剤に関する質問がある場合や、このサイトの説明でわからない点がある場合は、担当の医療従事者にお尋ねください。彼らは治療について最善の決断ができるよう、喜んでサポートしてくれるでしょう。

    持効性抗精神病注射製剤の投与を中止したい時

    持効性抗精神病注射製剤の投与を中止したい場合は、医療従事者に相談してください。

    投与を中止することで、あなたの健康や安全、生活全般にどのような影響が出るかを理解する手助けをしてもらえるでしょう。彼らは、バランスの取れた、十分な情報に基づいてあなたが判断を下せるように支援したいと考えており、この治療を中止すべかどうか、またどのように安全に中止できるかを助言してくれます。

    抗精神病薬には依存性はありませんが、身体はこの薬に慣れていきます。突然中止すると、心身ともに不調を感じる可能性があります。そのため、数週間ごとに、少しずつ時間をかけて薬剤の用量を減らしていくのが最善です。これによって、投与する薬剤を減らしていく間に離脱症状(薬剤が身体から急になくなることで起きる症状)が現れにくくなります。また、こうすることで、精神的に不調になっているかを、あなた自身と担当の医療従事者が判断することもできます。 

    薬剤を減らしている間や完全にそれを止めた後に、症状の再発や悪化が生じた時は、担当医に相談してください。今後のケアや治療の計画を担当医と話し合うことができます。

    重要事項

    抗精神病薬により眠気が出ることがあります。使用中は次のことに留意してください。

    • アルコールは、さらに眠気を強めることがあります。
    • 完全に目が覚めていない、または薬剤により集中力が落ちていると感じる場合は、自動車の運転や機械の操作を行わないでください。
    • 睡眠薬や花粉症の錠剤など、他の薬剤の中には、通常より強く眠気が出るものもあります。

    身体の健康状態を定期的にチェックする必要はあるか

    統合失調症、双極性障害、または精神病の治療のために持効性抗精神病注射製剤の投与を受けている場合、かかりつけの一般開業医のクリニックから年1回の定期健康診断を受けるよう案内があるでしょう。

    定期健康診断の担当者は、健康の問題がないか確認し、健康維持のために必要な治療を受けられるようサポートしてくれます。

    出典

    この情報は英国王立精神医学院(Royal College of Psychiatrists)のパブリック・エンゲージメント編集委員会(Public Engagement Editorial Board: PEEB)が制作しました。執筆時点での利用可能な最良のエビデンスを反映しています。

    専門家執筆者: コンスタンティノス・イオアニディス博士

    経験専門家:ニック・ハンター

    ご要望があれば、引用文献リストをご提出します。 

    This translation was produced by CLEAR Global (Nov 2026)

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