大麻とメンタルヘルス
Cannabis and mental health for young people
Below is a Japanese translation of our information resource on cannabis and mental health for young people. You can also view our other Japanese translations.
免責事項
この情報では、大麻とは何か、大麻がメンタルヘルスに与える影響、また援助やサポートを得る方法を見ていきます。
薬物のことを知りたくなるのは普通のことです。周囲の人たちが使っている、自分でも使ってみたいと思っている、あるいは単にどんな気分になるのか興味があるというだけかもしれません。
大麻とは
大麻はイラクサ科の植物の一種で、何世紀もの間、世界中で自生してきました。人間はこれをリラックスのためなどさまざまな理由で使用してきました。
大麻には主に次の2種類があります。
- 茶色がかった黒色の樹脂の塊(レジン)で、バングー、ガンジャ、ハシシとしても知られるもの
- 乾燥させた葉や花冠からなるハーブ状の大麻で、ウィード、グラス、マリファナ、スプリフなどとして知られるもの
大麻の強さは、その種類によって異なります。より効力の高い化学物質(THC)が含まれる大麻草から作られるのがスカンクという大麻で、これは脳により強力な作用をもたらす可能性があります。
しかし、大麻にはいろいろな強さのものがあるため、厳密にどんな気分になるかは使ってみないと分からないでしょう。
大麻に関する法律
大麻は、1971年薬物乱用法(Misuse of Drugs Act 1971)においてクラスBの薬物に分類されています。これは、大麻の所持が確認された場合に最大で5年の禁錮刑に処される可能性があることを意味しています。大麻を栽培したり、それを他の人に渡したりしているのが確認された場合は、最大14年の禁錮刑に処される可能性があります。また、どちらの場合も、無制限の罰金が科せられる可能性があります。
大麻は他のクラスB薬物とは異なり、次のような場合に警察が当人に警告を与えることを選択できます。
- 大麻の所持が少量に留まる場合
- 当人が個人で使用することが目的の場合
- 初犯であり、過去に犯罪歴がない場合
- 警察に協力する場合
大麻の所持で捕まり、それが2度目の犯行であった場合は、80ポンドの罰金が科される可能性があります。3度目の犯行となる場合は逮捕され、警察署に連行されます。
2018年11月から、患者にとって有益であるとの判断が下された場合に専門医が大麻由来の医薬品を処方できるようになっています。ただし、この資料では余暇目的で使用される大麻を中心に扱っています。
英国内で、カナダや米国の一部の州のように大麻を合法化すべきかについての議論があります。
大麻が与える影響
大麻を喫煙すると、活性化合物が血流を通じて素早く脳に到達します。その後、それらが脳内の受容体に付着することで、神経細胞からさまざまな化学物質が放出されます。これによってさまざまな効果を体験することになりますが、それは楽しいものの場合もあれば、不快なものの場合もあります。
多くの場合、良い影響よりも悪い影響のほうが現れるまでに時間がかかります。
- 良い影響-リラックスして話しやすい気分になり、色や音楽がより強烈に感じられる。
- 悪い影響-気持ち悪さ、パニックや妄想的な気分になる、声が聞こえる、意気消沈してやる気がなくなる。
大麻を試す人の大半は5回程度の使用でやめてしまい、常用することはありません。しかしながら、大麻に中毒性を見出し、生活に悪影響が出ていると感じていても使用をやめられなくなる人もいます。
大麻がメンタルヘルスに与える影響
大麻がメンタルヘルスに与える影響については、数多くの研究があります。
一部の研究では、大麻を使用する若者は精神病のリスクが高いことが分かっています。大麻の強さや使用頻度に応じて精神病の発症リスクが高くなります。
また、大麻の使用によって、うつ病や自殺願望といった他のメンタルヘルスの問題のリスクが高まる可能性もあります。
研究では、すでにメンタルヘルスの問題の発症リスクがある人が大麻を常習すると、症状が現れるリスクが高まる可能性があることが示唆されています。また、すでにメンタルヘルスの問題がある場合に大麻がその問題を悪化させる場合があるというエビデンスもあります。
大麻を使い始めたときの年齢が若ければ若いほど、こうした問題のリスクは高まります。これは、脳がまだ成長中であることから、大麻に含まれる化学物質からのダメージを受けやすいためです。
大麻の使用をやめることは、うつ病や精神病など、メンタルヘルスの問題の症状の軽減に役立ちます。ただし、メンタルヘルスの問題に対する追加のサポートや、大麻の使用を安全にやめるための手助けを必要とする人もいます。
合成カンナビノイドについて
合成カンナビノイドは、大麻と同様の影響を持たせて作られた化学物質です。しかし、それらのほとんどが大麻よりもはるかに強力で、心身の疾患の原因となる可能性も高いです。
研究では、合成カンナビノイドにはせん妄(混乱を感じたり、自分のいる場所がわからなくなったりすること)、興奮、幻覚、暴力、自傷行為が伴うことが確認されています。
合成カンナビノイドは過去には合法であったため、「リーガル・ハイ」として知られていました。合成カンナビノイドが大麻よりも安全だと考える人がいる理由のひとつです。しかしながら、現在では多くの合成カンナビノイドが違法であり、多くの場合は大麻よりも高い危険性を持ちます。
助けを求めるべきタイミング
大麻は違法であり、メンタルヘルスへの潜在的な影響を持つだけでなく、他の生活領域にも影響を与える可能性があります。
大麻の喫煙によって息切れや咳が起こり、身体の健康に影響を与える可能性があります。喘息持ちであれば、大麻を喫煙することで喘息が悪化する場合があります。
大麻を頻繁に使っていると、多くの場合は学校生活や家庭生活に影響が出ます。また、それまでに楽しんでいた活動を行わなくなります。大麻を大量に使っているなら、多額のお金がかかり始めているかもしれません。
大麻が心身の健康や社会生活に悪影響を与えていると感じている人向けに、いくつかの支援が提供されています。
支援を得る方法
たくさんの人々が、あなたに支援が必要かどうかの判断を手助けし、支援を得るためのサポートをしてくれます。ただし、あなたが口を開かなければ、支援が得られる可能性は低いでしょう。メンタルヘルスの問題は一般に、即座に対応することで改善されます。
友人、家族、ケアラーなど、信頼できる人に話してみましょう。このような人たちは、専門家との会話が必要な場合にもサポートしてくれるかもしれません。ほかにも次のような人々がサポートしてくれる可能性があります。
- 主治医や看護師
- 教員や学校/大学のカウンセラー
- ユースワーカー
- ソーシャルワーカー
知人には話しにくかったり、対面では話しにくかったりする人向けに、薬物相談サービスの「FRANK」が秘密厳守のヘルプラインを年中無休で開設しています: talktofrank.com/contact-frank
自分でできること
大麻の使用中止に取り組んだり、サポートサービスを探したりする間に、自分で自分のために行えることがあります。それは次のようなことです。
- 制限を設ける-大麻を常用していて、完全にやめることの想像がつかない場合、タイミングや量の制限を設けてみましょう。
- まとめ買いを避ける – 大量購入をしないよう、給料日直後やお金を受け取ったときに大麻を買うのを避けましょう。
- 大麻に関連する人々、場所、活動を避ける – 大麻を使用する可能性が高い環境に行ったり、大麻を使用する人々と時間を過ごしたりする場合は注意しましょう。
- 悲しい気分の時や意気消沈している時は使わない – これは難しいことかもしれませんが、さらに嫌な気分になったり、意気消沈している時に大麻を使用することに慣れてしまったりする可能性があります。
- 自分へのご褒美 – 好きな食べ物を買ったり、映画を観に行ったりするなど、大麻を使わなかったことのご褒美を自分に与えましょう。
さらなる情報
大麻の情報や、使用をやめる際にサポートを得る方法について詳しく知ることができる資料です。
Know cannabis、knowcannabis.org.uk - 自分の大麻の使用状況やそれが生活に及ぼす影響を評価し、変わりたいと思ったときにその方法を確認できるウェブサイトです。
FRANK、talktofrank.com - 無償かつ秘密厳守で薬物情報やアドバイスを提供しています。
ヘルプライン:0300 123 6600
SMS:82111
電子メール:talktofrank.com/contact
YoungMinds、youngminds.org.uk -すべての子どもたちと若者のメンタルヘルスの改善を目的とした全国規模の慈善団体です。
参考文献
Cannabis and you, workbook and self help tools、drugsandalcoholni.info/wp-content/uploads/2019/09/cannabis-and-you-single-pages.pdf – Drugs and Alcohol Northern Ireland(北アイルランド薬物・アルコール)が作成したPDF形式の小冊子で、大麻の使用をやめたり減らしたりする際の計画づくりに役立つほか、大麻に関する多くの有用な情報が掲載されています。
クレジット
この情報は、英国国立精神医学院(Royal College of Psychiatrists)のパブリック・エンゲージメント編集委員会(Public Engagement Editorial Board、PEEB)が制作したものです。執筆時点での利用可能な最良のエビデンスを反映しています。
専門家執筆者:Adam Winstock博士、Virginia Davies博士、Vasu Balaguru博士
ご要望により、この資料のすべての参考文献をご利用いただけます。
This translation was produced by CLEAR Global (Nov 2024)