抗うつ薬

Antidepressants

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この情報は、抗うつ薬についてより詳しく知りたい方を対象としています。これらがどのように作用し、なぜ処方されるのか、その効果と副作用、代替治療法について説明します。

抗うつ薬とは何か

抗うつ薬は、うつ病、不安障害などの症状の緩和に役立つ薬剤です。これらは1950年代に初めて開発され、それ以来頻繁に使用されてきました。主に5つの種類があります。

  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
  • SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
  • NASSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
  • 三環系
  • MAO阻害薬(モノアミン酸化酵素阻害薬)

他にも、現在はあまり処方されない種類の抗うつ薬があります。

  • 四環系
  • SARI(セロトニン遮断再取り込み阻害薬)
  • NDRI(ノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害薬)

この資料では、抗うつ薬がどのようにうつ病の症状の治療に使用されるかに焦点を当てています。しかし、他の症状のために抗うつ薬を服用している人にも、この資料の多くの情報が役立つでしょう。

抗うつ薬の服用を安全に中止する方法については、抗うつ薬の中止に関する資料をご覧ください。

抗うつ薬の作用

他の多くの種類の薬剤や治療法と同様、抗うつ薬がどのように作用するかのはよく分かっていません。分かっているのは、抗うつ薬が脳内の特定の化学物質の活性に影響を及ぼすことです。これらは神経伝達物質と呼ばれ、ある脳細胞から別の脳細胞に信号を伝えます。抗うつ薬の影響を最も受ける神経伝達物質はセロトニンとノルアドレナリンです。

しかし、研究によれば、抗うつ薬は単なる化学反応を超えたさまざまな方法で脳に作用することが示唆されています。この研究では、次のことが示されています。

  • 体のストレスへの反応の仕方に影響を与える
  • 否定的な思考を改善する
  • 脳細胞への損傷を止めたり、逆に元の状態に戻したりする

抗うつ薬の使用目的

抗うつ薬は通常、軽度のうつ病に処方すべきではありません。しかし、中等度から重度のうつ病を患う成人には推奨されます。これは、うつ病によってその人の生活の質が著しく低下し、日々の生活に影響が出ている状態です。抗うつ薬は、単独で、または心理療法と組み合わせて使用されます。

通常、抗うつ薬は子どもや青少年に使用すべきではありませんが、うつ病が以下の場合はその限りではありません。

  • 他の治療に反応しなかった場合
  • もしくは、特に重度の場合

抗うつ薬は、次のような他の症状にも処方されることがあります。

医師は、抗うつ薬の服用を勧める理由を説明する必要があります。また、抗うつ薬を服用することの潜在的な利点とリスクについても医師が説明する必要があります。

抗うつ薬はどの程度効くのか

研究によると、抗うつ薬は成人の中等度から重度のうつ病の症状を軽減するのに役立つことが分かっています。しかし、これらの薬剤に対する経験は人によって大きく異なります。

抗うつ薬を服用しなくても、時間の経過とともに症状が改善する人もいます。しかし、一般的には、症状や生活の質の改善が見られるのは抗うつ薬を使用してからです。これは特に、うつ病が重度の場合に当てはまります。抗うつ薬によってうつ病の症状は軽減するものの、副作用の問題があると感じる人もいます。自分には抗うつ薬が効かないと感じる人もいます。

医師が抗うつ薬を処方した場合は服用開始から約2週間後に再検査を行い、次の点をモニタリングする必要があります。

  • 気分はどうか
  • 副作用が出ているか
  • 抗うつ薬の服用を継続する必要があるか

抗うつ薬では、うつ病の発症につながる可能性のある外的要因を取り除くことはできません。たとえば、仕事で大きなストレスを抱えていたり、死別による悲しみを経験していたりする場合、当然のことながら抗うつ薬でこれらを取り除くことはできません。しかし、抗うつ薬は、うつ病の症状をコントロールし、これらの外的要因に対処しやすくするのに役立ちます。これが、心理療法と併用されることが多い理由のひとつです。

抗うつ薬の副作用

副作用は、すべての薬剤にあり得るものです。このことについては、抗うつ薬の使用開始に同意する前に、医師と話し合う必要があります。現在罹患している、または過去に罹患したことのある病状があれば、医師に伝えてください。これによって、医師から推奨される抗うつ薬の種類に影響が出る可能性があります。

以下は、さまざまな種類の抗うつ薬で発生する可能性のある副作用の一部です。服用している薬剤に付属している説明書には、これらの詳細がすべて記載されています。

副作用の一覧は厄介なものに思えますが、ほとんどの人にとっては軽度なものです。また、体が薬剤に慣れてくると、2週間ほどで消失するのが普通です。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)とSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

  • 興奮する、震える、または不安になる。特に警告されていないと、これが抗うつ薬の服用をやめる理由となることがよくあります。しかし、この副作用は、抗うつ薬の服用を開始してから数週間で軽減するのが普通です。
  • 気分や体調が悪い
  • 消化不良または胃痛
  • 下痢または便秘
  • 食欲不振
  • めまい
  • 視界がぼやける
  • 口の乾き
  • 汗が出る
  • よく眠れない(不眠症)、または眠気が強い
  • 頭痛
  • 性欲減退
  • セックスや自慰行為中にオーガズムに達するのが難しい
  • 男性の場合、勃起や勃起の維持が難しくなる(勃起障害)

まれに、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)の服用を中止した後に、より持続的な性的副作用を経験する場合があります。これらの症状を説明するために、一部の人々の間で「SSRI後性機能障害」(post SSRI sexual dysfunction, PSSD)という用語が使用されてきました。PSSDは、こうした人々の生活に、重大な、苦悩を与える影響を及ぼす可能性があります。

これがなぜ起こるのか、またどの程度一般的なものなのかを理解するには、さらなる研究が必要です。継続的な性的副作用を経験している人々が適時に適切なサポートを受けることが重要です。

NASSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

NASSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)の副作用はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)と非常に似ています。 眠気を感じたり、体重増加を引き起こしたりすることもありますが、性的な問題が生じる可能性は低くなります。 

三環系

この薬剤は、以下の原因となる場合があります。

  • 口の乾き
  • 視界がわずかにぼやける
  • 便秘
  • 排尿障害
  • 眠気
  • めまい
  • 体重増加
  • 過度の発汗(特に夜間)
  • 顕著な動悸や心拍数の上昇(頻脈)などの不整脈

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)/SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と同じく、通常これらの副作用は軽度で、数週間で消失します。

MAO阻害薬

MAO阻害薬は、あまり処方されない抗うつ薬に入ります。この薬剤は、専門家しか使用しない傾向があります。これは主に、服用すると厳格な食事療法に従い、チラミン(アミノ酸)を多く含む食品を避ける必要があるためです。この食事療法に従わないと、危険なほど高血圧になる恐れがあります。一般的に、MAO阻害薬は忍容性が良好です。他の抗うつ薬が効かなかったり、不快な副作用を引き起こしたりする特定の状況で効果を発揮する可能性があります。 

何らかの抗うつ薬を使用していて、何週間も続く、または耐えがたい副作用を経験した場合は、医師に相談してください。また、抗うつ薬の服用を開始することを友人や家族に伝えることも役立つかもしれません。これにより、副作用を経験した場合に医師がサポートしやすくなります。

服用している抗うつ薬の副作用を含む詳細な情報は、Electronic Medicines Compendium(EMC)を参照しましょう。ページ上部の検索ボックスに薬剤の名称を入力してください。薬剤を処方されたときは、この情報の紙の写しも渡されるはずです。受け取っていない場合は、薬剤師に依頼して入手しましょう。

抗うつ薬と自殺願望

うつ病になると自殺願望が湧いてくることがあります。抗うつ薬を服用し始めると自殺願望が強くなる人もいます。子どもや青少年では、この現象が起こるリスクがさらに高くなる可能性があります。そのため、子どもや青少年が抗うつ薬を処方された場合は、処方した医師または他の医療専門家が、自殺願望がないかを注意深くモニタリングする必要があります。

自殺願望や自殺念慮を感じている場合には、それをすぐに医師に報告することが非常に重要です。抗うつ薬の服用を中止するよう勧められるかもしれません。

自分自身を傷つける危険があると感じたら、999に電話するか、最寄りの救急外来を受診しましょう。

緊急事態ではないが助けが必要な場合は、NHS111に電話してください

運転や機械の操作について

抗うつ薬の中には眠気を誘ったり、反応を鈍らせるものもあるため、それらは車の運転中や機械の操作中の場合には服用できません。医師に確認したり、薬剤に付属している説明書を読んで確認してください。

あなたの病状や薬剤によって運転能力に影響を出る場合は、運転免許庁(DVLA)に通知する必要があります。

抗うつ薬を中止するとどうなりますか?

抗うつ薬をやめることが難しい人もいれば、比較的簡単にやめられる人もいます。

抗うつ薬は決してすぐに中止してはいけません。私たちは、この領域を詳細に検討した抗うつ薬の中止に関する別の情報資料を作成しています。この資料では、徐々にやめていく方法についてアドバイスしています。

通常、抗うつ薬の服用を中止してから数日以内に次のような離脱症状が現れます。

  • 頭痛
  • ふらつき
  • 吐き気
  • よく眠れない
  • 鮮明な夢や恐ろしい夢
  • 電気ショック様感覚(「シャンビリ感」ともいう)
  • 不安障害や怒りっぽさなどの急激な気分の変化

うつ病が数週間または数ヶ月経って再発した場合、それは離脱症状ではなく、元の病状が再発したためである可能性が最も高いです。

これに関する詳細は、抗うつ薬の中止に関する情報資料にあります。

抗うつ薬の依存性、依存してしまう可能性

抗うつ薬の使用をやめると、人によっては不快な離脱症状を経験することがあります。ほとんどの場合、数週間かけて抗うつ薬の用量を徐々に減らしていくことで、これらの離脱症状を最小限に抑えることができます。それでも、人によっては服用を再開し、さらに時間をかけて減薬する必要があるかもしれません。

このことが、自分が抗うつ薬の中毒になり、服用をやめたいと思ってもやめられないかのように感じられるかもしれません。これは「中毒」状態とは少し異なります。

一般的に、中毒とは次のことを意味します。

  • 薬物を使いたいという衝動や渇望を感じる
  • 自分が薬物を使用することに対して制御を失う
  • 使用すると、歓びや「高揚感」を経験する

中毒はアルコール類、ニコチン、ベンゾジアゼピンなどの物質で発生する場合があります。

抗うつ薬の服用がなかなか中止できない場合がありますが、これは正確には身体的依存と言われています。

「身体的依存」という用語は、中毒と混同されてきました。身体的依存とは、物質や薬剤の存在に身体が順応していることを意味します。

それがなくなると、身体はそれを「欲しがる」ため、忍容性や離脱症状が生じます。依存の形成のために、薬物によって「高揚感」が生まれる必要はないのです。

勧められたことのある抗うつ薬は?

ここで示すのは、一般的に使用されている抗うつ薬、英国での商品名、またそれらが属する「グループ」のリストです。

薬剤

商品名

グループ

アミトリプチリン トリプチゾール 三環系
アゴメラチン ヴァルドキサン その他*
ブプロピオン ザイバン NDRI
シタロプラム シプラミル SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
クロミプラミン アナフラニル 三環系
デシプラミン ノルプラミン 三環系
デスベンラファキシン プリスティク SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
ドスレピン プロチアデン 三環系
ドキセピン シネクアン 三環系
デュロキセチン シンバルタ、イエントリーブ SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
エスシタロプラム シプラレックス SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
フルオキセチン プロザック SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
フルボキサミン ファベリン SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
イミプラミン トフラニール 三環系
イソカルボキサジド マープラン MAO阻害薬
ロフェプラミン ガマニル 三環系
ミアンセリン トルボン 四環系
ミルナシプラン イクセルおよびサヴェッラ SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
ミルタザピン ジスピン NASSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
モクロベミド マネリクス MAO阻害薬
ネファゾドン サーゾーン SARI
ノルトリプチリン アレグロン 三環系
パロキセチン セロクサート SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
フェネルジン ナルディル MAO阻害薬
レボキセチン エドロナックス SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
セルトラリン ルストラル SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
トラニルシプロミン パルナート MAO阻害薬
トラゾドン モリパキシン 三環系関連
トリミプラミン スルモンチール 三環系
ベンラファキシン イフェクサー SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
ビラゾドン ヴィブリッド SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
ボルチオキセチン ブリンテリックス SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)

*この抗うつ薬は、従来の抗うつ薬とは異なる方法でセロトニンを調節します。また、睡眠に関係するホルモンのメラトニンにも作用します。

これはすべての抗うつ薬を網羅したリストではありません。他にも、専門家が使用することのある薬剤が存在します。

妊娠や授乳について

身体の健康やメンタルヘルスの問題のために、妊娠前、妊娠中、妊娠後に薬剤の服用を必要とする人は多くいます。長年にわたって妊娠中に使用されてきた薬剤はいくつかあります。妊娠中は危険であることが知られているものもあります(バルプロ酸ナトリウムなど)。

妊娠中や授乳中に抗うつ薬の服用を継続するか、変更するか、あるいは中止するかの決定は単純にできるものではなく、簡単でもありません。次のように、考慮すべき多くの要因があります。

  • 服用している薬剤
  • 本人の病歴
  • 治療に対する反応
  • 本人の見解

妊娠中に抗うつ薬などの薬剤を服用することのリスクは、治療を受けずに体調を崩すリスクと比較検討する必要があります。一般開業医(GP)または精神科医と慎重に話し合う必要があるでしょう。

研究では、妊娠中に抗うつ薬を服用した何千人もの女性を対象に調査が行われてきました。赤ちゃんに対する結果に影響を及ぼす要因が多いため、これらの研究を解釈するのは必ずしも容易ではありません。一般開業医(GP)や精神科医は、最新の研究でさまざまな薬剤について何が言われているのか、患者個人の状況の中で理解する手助けをしてくれます。

多くの女性が妊娠中に抗うつ薬を服用しています。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)などのように一般的に使用される抗うつ薬や、それらを妊娠中に使用することに関してはより多くの情報があります。ボルチオキセチンなどの新しい抗うつ薬については、はるかに少ない情報しかありません。個々の抗うつ薬に関する情報は、「Best Use of Medications in Pregnancy(妊娠中の最適な薬剤の使用)」ウェブサイトで確認できます。

まだ妊娠していない場合

可能であれば、妊娠する前に医師に相談してください。しかし、多くの妊娠は計画外で起こり、妊娠してから薬剤に関する決定を下さなければならない可能性もあります。

すでに妊娠している場合

すでに妊娠している場合は、できるだけ早く医師の診察を受ける必要があります。医師の指示がない限り、いきなり薬剤を中止しないことが非常に重要です。抗うつ薬を突然中止すると、メンタルヘルスの問題が再発する可能性があります。また、中止によって不快な副作用が出る可能性もあります。薬剤の中止が安全かどうかを判断する前に、過去の病気の重症度について考える必要があります。多くの女性が、妊娠中に薬剤を中止した後に再発しています。

詳細については、妊娠中のメンタルヘルスに関するリーフレットをご覧ください。

抗うつ薬の服用が必要な期間

抗うつ薬を服用する期間は、それが処方された理由や、以前も服用したことがあるかによって異なります。

抗うつ薬の服用が初めて、または2回目の場合は、気分が改善してから少なくとも6か月間は服用を続けるのが最善です。それより早く薬剤を中止すると、うつ病の症状が再発する可能性が高くなります。これまでに何度もうつ病エピソードを経験したことがある場合は、さらに長期の服用が必要になる場合があります。ただし、いつどのように服用を中止するかについては、医師と継続的に話し合う必要があります。

体調を崩す原因となったものは何なのかは考える意義があります。うつ病のようなメンタルヘルスの問題は、明確な理由なく突然起こることもあります。しかし、生活の中で、困難で体調を崩す原因となったことがあるかもしれません。たとえば、経済的なストレス、孤独、失業などです。時として、ストレスは完全には避けられないこともあります。しかし、将来再び体調を崩す可能性を下げるためにできることがあるかもしれません。

うつ病が再発したら

健康を維持するためにできる限りのことをしたとしても、うつ病は再発することがあります。このような場合は、次のことをする必要がある場合があります。

  • 一般開業医(GP)に相談の上、再び抗うつ薬の服用を開始する
  • 抗うつ薬を変更する
  • もしくは、トークセラピーなど別の治療法を試す

健康を維持するために長期にわたって抗うつ薬の服用を必要とする人もいます。抗うつ薬の服用をやめられる希望を持っていた場合、それは苛立たしいことかもしれません。将来的に、また抗うつ薬の服用を中止できる可能性があることを覚えておくことが重要です。これは「失敗した」ということではないのです。

抗うつ薬を飲まなかったら?

それは何とも言えません。それは、薬が処方された理由、うつ病の程度、そしてうつ病を患った期間によって異なります。うつ病は、治療をしなくても、またはトークセラピーなどの他の治療法で改善することがあります。

抗うつ薬によって、トークセラピーなどの他の治療法に取り組みやすくなります。また、トークセラピーの効果を高めることもできます。

医師は、抗うつ薬を処方する前に、こうしたことを患者と話し合うべきです。医師は、抗うつ薬を服用する場合と服用しない場合の利点とリスクを患者が完全に理解していることを確認する必要があります。

抗うつ薬について他に知っておくべきこと

以下は、抗うつ薬を服用している場合に知っておくと役立つことです。

  • 服用している抗うつ薬に苦しんでいる場合は、医師に相談してください。医師は、管理できない副作用を生じさせずに、自分に合った薬剤の種類や用量を見つける手助けをしてくれるはずです。複数の抗うつ薬を試したことがある場合は、代替薬を検討する必要があるかもしれません。
  • 副作用が出ても服用を見合わせないようにしましょう。これらは不快な場合があり、その結果として抗うつ薬の服用をやめてしまう人がいるのも理解できます。しかし、ほとんどの副作用は2週間ほどで消失します。可能であれば、薬をやめる前にこの期間は待つようにしてください。それでも、副作用が耐えられない場合や自殺願望がある場合は、すぐに医師に相談してください。
  • 服用を忘れないようにしましょう。服用を忘れると離脱症状を引き起こす可能性があります。飲み忘れた場合は、通常通り次の服用を行ってください。飲み忘れた分を補うために、普段より多く服用しないでください。
  • ほとんどの人は、抗うつ薬が効き始めるまでに1~2週間かかると感じています。人によっては、完全な効果を感じ始めるまでに最大6週間かかります。抗うつ薬の効果を感じていない場合でも、服用をやめる前に数週間は服用を続けるようにしてください。状況が改善するかもしれません。
  • 飲酒については医師に相談してください。ほとんどの抗うつ薬はアルコール類に反応しません。ただし、抗うつ薬の中には、服用中にアルコール類を飲むと気分が悪くなったり、眠気を催したり、アルコールの作用を強めたりするものがあります。
  • 抗うつ薬が身体の健康やメンタルヘルスに悪影響を及ぼしていると思った時は、医師に相談しましょう。
  • 抗うつ薬は特定の食品や薬剤と相互作用を起こす可能性があります。たとえば、グレープフルーツは抗うつ薬のセルトラリンと相互作用を起こす可能性があります。医師や薬剤師に使用している抗うつ薬が食品や薬剤と相互作用するかどうかを問い合わせたり、処方箋に付属する情報を注意深く読む必要があります。新しい薬剤の服用を開始する場合は、その薬に付属する情報を確認し、使用する抗うつ薬との相互作用がないことを確認してください。

うつ病のその他の治療法

トークセラピー(心理療法)

うつ病には有用なトークセラピーが数多くあります。これらは、第一の選択肢として推奨されることが多いですが、抗うつ薬と併用されることもあります。

  • カウンセリング – カウンセリングは軽度のうつ病に有効であり、問題解決の技術を身につけるのに役立ちます。生活上の困難からうつ病が引き起こされた場合は、カウンセリングが役立ちます。
  • 認知行動療法(CBT) – 認知行動療法は、思考、行動、感情の間のつながりを見つけるよう促すことで、心の状態を改善するのに役立ちます。他の心理療法とは異なり、本人の過去よりも現在その人に起こっていることに注目していきます。

これらのセラピーやその他の心理療法に関する情報については、以下の情報を参照してください。

ハーブ

ハーブは植物由来で、英国のNHSでは処方されません。

ハーブの中には、うつ病の人々に良い効果があるものがあることがわかっています。これらのひとつはヒペリカムといい、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)と呼ばれるハーブから作られます。これはハーブ療法であるため、十分な研究が行われておらず、販売方法に関する規則もあまりありません。得られる量はどこで購入するかによって異なります。

セントジョーンズワートは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)抗うつ薬や他の薬剤と一緒に摂取すると危険な場合があります。また、避妊薬などの他の薬剤と干渉する場合もあります。ハーブの服用を考えている場合は、まず医師に相談してください。

ウェルビーイング全般

自分のウェルビーイング全般について考えるのは重要なことです。気分を良くするために自分でできることはたくさんありますので、再び抑うつ状態になる可能性は低くなります。これには、以下のようなものがあります。

  • 相談できる人を見つける
  • 身体を活発に動かす
  • アルコール類の摂取量を減らし、娯楽目的で薬物を摂取しない
  • より多くの魚、果物、野菜を食べるといった、健康的な食事
  • セルフヘルプのテクニックを使ってリラックスに役立てる
  • うつ病の原因となった実際的な問題の解決方法を見つける
  • ピアサポート – 自分と同じような問題を抱えている人々と会うことが役に立つかもしれません。自分に適したピアサポートグループについては、一般開業医(GP)に相談してください。

セルフヘルプのヒントについては、うつ病に関するリーフレットをご覧ください。

ソーシャル・プリスクリプション(社会的処方)

ソーシャル・プリスクリプションは、人々を地域のコミュニティ・サービスやグループに結びつけるのに役立ちます。これは彼らのメンタルヘルスや身体の健康のサポートに役立ちます。

例えば、ガーデニングが好きなら、ソーシャル・プリスクリプションは近所で毎週開催されているガーデニンググループへの紹介を伴うかもしれません。他の人たちと会い、自分の好きなことをしながら一緒に時間を過ごせるようになります。

詳細については、ソーシャル・プリスクリプションの資料をご覧ください。

人によっては、自分の気分が季節によって左右されると感じます。これを季節性情動障害(seasonal affective disorder, SAD)といいます。毎年冬になると抑うつ状態になるが、日が長くなると改善するという場合は、ライトボックスが役立つかもしれません。これは、毎日一定の時間につける明るい光源で、冬の光不足を補うのに役立つ場合があります。SADを経験しているかもしれないと思ったら、医師に相談してみましょう。

さらに詳しい情報を入手するには

抗うつ薬について質問がある場合は、ここに掲載したその他の情報ソースをご覧いただくか、医師に相談しましょう。

出典

この情報は英国王立精神医学院(Royal College of Psychiatrists)のパブリック・エンゲージメント編集委員会(Public Engagement Editorial Board及びPEEB)が制作しました。執筆時点での利用可能な最良のエビデンスを反映しています。

主執筆者:ウェンディ・バーン教授

監修:英国王立精神医学院 (Royal College of Psychiatrists)精神薬理学委員会

経験専門家:フィオナ・ラジェ、ビクトリア・ブリッジランド

ご要望があれば、引用文献をお贈りします。

© Royal College of Psychiatrists

This translation was produced by CLEAR Global (Apr 2025)

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