子どもや若者の統合失調症

Schizophrenia in children and young people

Below is a Japanese translation of our information resource on schizophrenia in children and young people. You can also view our other Japanese translations.

この情報では、若年者の統合失調症について見ていきます。統合失調症の一般的な症状や診断、治療法に加えて、その原因やどの程度一般的な疾患であるかについて説明しています。子どもや若者、その親、介護者、学校向けに書かれています。

統合失調症とは

統合失調症は、思考、感情、行動に影響を与えるメンタルヘルス疾患です。統合失調症の人は、精神病症状(現実のものとそうでないものの区別がつきにくい)、異常な思い込み、思考、体験を経験します。統合失調症は精神病の一種であり、統合失調感情障害や妄想性障害などの他の精神病性疾患とは異なります。

「精神病性エピソード」を経験する人もいますが、それが必ずしも統合失調症に進行するとは限りません。精神病について詳しくは、精神病の関連リーフレットをご確認ください。

統合失調症の頻度

約100人に1人が生涯で統合失調症を発症します。統合失調症は低年齢の子供には極めてまれで、通常は10代後半で発症します。

統合失調症の原因

まだはっきりとはわかっていません。次のような複数の異なる要因が人ごとに関連しあっている可能性が考えられます。

  • 遺伝的および環境的リスク因子
  • 親が罹患している
  • 一卵性または非一卵性双生児が罹患している
  • 脳へのダメージ
  • 薬物やアルコールの使用
  • 事故、死別による悲しみ、家や学校の引っ越しなど、人生の大きな変化によるストレス
  • 家族の問題
  • 身体的、性的、精神的虐待の経験

統合失調症の原因を考える場合、さまざまな要因が関与していること、また、統合失調症の原因となるリスク因子は1つだけではないことを覚えておくことが重要です。

統合失調症の症状

統合失調症の患者は、次のような精神病症状を経験します。

  • 妄想 - これは強く異常な思い込みです。例えば、自分がテレビに監視されていると考えたり、特別な力を持っていると考えたりします。このような思い込みは、ほかの人から見ると明らかに事実ではありません。
  • 思考の乱れ - 不明瞭でごちゃごちゃした、または混乱した思考で、他の人にはついていくのが難しいかもしれません。
  • 幻覚 - 実際にはないものを見たり、聞いたり、匂いを嗅いだり、感じたりします。このような体験は幻覚と呼ばれます。もっとも一般的な幻覚は、幻聴です。幻覚は、その人にとっては非常に現実的で恐ろしいものに感じられることがあります。
  • コントロールの喪失 - 自分の感情、衝動、思考、行動が自分のコントロール下になく、外部の力によってコントロールされているように感じます。

あなたが統合失調症の症状を発症している場合、周りの人から行動の不自然さを指摘されているかもしれません。たとえば、周りの人はあなたが独り言を言ったり一人で笑ったりしていることに気づくかもしれません。

その他の症状

統合失調症を患っていると、次のようなことが難しい場合があります。

  • 何かに注意したり集中したりすること
  • 社会的な状況を理解すること
  • 物事を覚えていること
  • 物事に意欲的に取り組むこと(学校に通う、スポーツをする、友達に会う、洗濯や着替えをするなど)

また、動作が緩慢になり、感情をあまり強く感じなくなるかもしれません。周りの人から見ると、あなたの行動は不自然であったり、予測できない、または不適切なものであったりすることがあります。

あなたやあなたの知人がこのような症状を経験していたり、周りの人があなたの行動を心配していたりする場合は、信頼できる人に助けを求めるか、一般開業医(GP)に相談してください。

統合失調症の診断

統合失調症の症状は突然発症することもあれば、徐々に始まることもあります。統合失調症と診断されるには、症状が次の内容を満たしている必要があります。

  • ひと月以上継続している
  • 他の健康上の問題(脳腫瘍など)が原因ではない
  • 物質(大麻など)や薬剤の摂取、あるいはそれらの中止が原因ではない

支援を得るには

できるだけ早い段階で助けを求めることが重要です。治療が早ければ早いほど、回復する可能性は高くなります。

自分や知人が統合失調症の症状を経験しているように感じたら、信頼できる人に相談してください。これには、親、介護者、友人、教師などが考えられます。

次の段階では、あなたやその親、介護者がかかりつけの一般開業医(GP)や養護教諭に相談します。このような人たちは、児童・思春期メンタルヘルスサービス (CAMHS) や、精神病を患った若者のための専門チームであるEarly Intervention Team/Service (EIS)の支援をあなたが得られるよう、かけあってくれるかもしれません。

精神病や統合失調症になると、自分の体調不良に自分で気づくことができず、周りの人が先に状況に気いて支援の必要性を認識するかもしれません。状態が非常に悪いと、状態が安定するまでしばらく入院が必要になることもあります。

自分自身や知り合いのために助けを求めるのはとても怖く、混乱するものです。助けを求めるのが早ければ早いほど、あなたやあなたの知人は早期に回復に取り組むことができます。

統合失調症の治療法

統合失調症の治療方法は、その人のニーズによって異なります。統合失調症の場合、治療内容には以下のようなことが含まれるでしょう。

薬剤

医師から「抗精神病薬」と呼ばれる薬剤を処方されるかもしれません。これらは統合失調症の治療の重要な一部であり、症状の軽減に役立ちます。体調を維持するためには、毎日、あるいは日に何度も、長期にわたって服用が必要になる可能性があります。

抗精神病薬にはさまざまな種類があり、自分に最適な種類を医師と探すことができます。あらゆる薬剤と同様、抗精神病薬にも副作用があります。副作用や、服用にあたって予期しておくべきことを、主治医が説明してくれるでしょう。

トーキングセラピー

認知行動療法(CBT)、カウンセリング、家族療法などのトーキングセラピーは、すべて効果が期待できます。これらの手段は、薬剤の服用と同時に使う必要があります。

ライフスタイルの変化

薬物を服用していたり、身体疾患を持っていたりする場合、それらを管理するための特別な援助や治療が必要になるかもしれません。あなたやあなたをサポートする人たちは、あなたの病気、その管理方法、ならびに再発方法についての理解を深めるための支援が必要になるかもしれません。学校、大学、仕事を続けるにあたって、自信を回復するための支援が必要な場合もあります。

さらなる情報

若者向けの情報

  • Young Minds - Young Mindsは、子供や若者のメンタルヘルスのために闘う、英国を代表する慈善団体です。統合失調症に関する若者向けの情報をお読みください。
  • Mind メンタルヘルスの慈善団体であるMindによる、統合失調症についての詳細情報をご覧ください。
  • Rethink Mental Illness - 慈善団体であるRethink Mental Illnessによる、統合失調症についての詳細情報をご覧ください。
  • Talk to Frank - Talk to Frankは、薬物や中毒に関する正確な情報を提供します。

    友人や家族向けの情報

  • Rethink Mental Illness - Rethink Mental Illnessウェブサイトのこのセクションでは、統合失調症の患者の介護者、友人、家族へのアドバイスと、さらなるサポートを提供しています。
  • Epic Friends - このウェブサイトは、精神的に苦しんでいるかもしれない友人を持つ若者のサポートを目的としています。

クレジット

英国王立精神医学院(Royal College of Psychiatrists)子どもと家族の公共関与編集委員会(Child and Family Public Engagement Editorial Board: CAFPEB)および国立精神衛生協力センター(National Collaborating Centre for Mental Health: NCCMH)が改訂しました。

この資料は、執筆時点で利用可能な最良のエビデンスを反映しています。

ご要望により、この資料のすべての参考文献をご利用いただけます。

© Royal College of Psychiatrists

This translation was produced by CLEAR Global (Aug 2024)


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