若者の摂食障害

Eating Disorders in Young People

 

 

このリーフレットについて

このリーフレットは親、教育関係者、児童・青少年のみなさんに向けて書かれた「こころの健康と成長」と題する案内書シリーズのひとつです。ここでは、摂食障害の原因と、摂食障害にどのように気付くかについてお話し、摂食障害がある子どもとどう向き合うかについてのアドバイスもしています。

18歳のジャネットが自身の拒食症について語ります。

2年前、その病気とは「大の仲良し」でしたが、今は「敵」です! 今ではもう、私も家族も病気にコントロールされることなく、みんなで病気をやっつけました。私一人ではできなかったでしょう。もし母と学校の保健師さんが専門家チームに会うように説得してくれなかったら・・・・・それには 6ヶ月もかかったんですけど、大学に行くことはできなかったでしょう・・・私は本当に頑固でした!拒食症についてお話します。

病気は15歳の時に始まりました。私は友達と「サウス・ビーチ・ダイエット」を試してみました・・・友達のほとんどは途中で止めてしまいましたが、私はかたくなに続けました・・・私は負けず嫌いだったんです。

うちでは「A」評価を取るのにものすごくプレッシャーを感じていました。でもやっと、気晴らしになることを見つけたんです。カロリー計算のことで頭がいっぱいになり、食事日記をつけるようになりました。ずいぶん体重が減りましたが、それでもまだ太っていて「醜い」と思い、もっと減らそうとしました・・・友達は私を止めようとしたり、心配してくれたりしましたが、私は気にもしませんでした。

だんだん友達と出かけなくなり、うちにいて腹筋運動をしているほうがよくなりました。ダイエット薬を飲むことを考えましたが、怖くなり、代わりに下剤を買いました・・・私は体重を減らすことにすっかり夢中になってしまったんです。ちょっとでも体重が増えることが、死ぬほど怖かったです。今でも忘れませんが、ひ弱でとても疲れた感じがしました。一番ひどい時は手足の指が紫色になりました!

それから、青少年と家族のための精神保健サービスに行く気になって、そこで看護師さん、精神科の先生、心理カウンセラーさん、家族療法士さんがいる治療チームの診察を受けました。

個人セラピーに毎週通いました。いろいろな悩みを解決したり、私の健康状態の管理もしてもらうためです。私と家族がこの問題をうまく解決できるように、家族療法士さんも時間を取ってくれました・・・特に拒食症のことをなかなか理解できない父にとっては、これが一番大事なんだとずっと感じていました。家族みんなにとって治療はきつくて時々止めたくなりましたが、チームのサポートのおかげで安心できました。

今でもつらい時がありますが、私たちは克服しました。

16歳のアナベルの場合

私は今16歳ですが、症状が出始めたのは12歳の時でした。体重とスタイルのことがとても気になりました。ちょっと体重が増えて、クラスの男子から太っていると言われ、とても傷つきました。たとえ学校でうまくいっていても、何かしっくりこない気がしたし、自分のことはイマイチだと感じていました。

だんだん食べなくなって体重がずいぶん減りましたが、それでもまだ太っていると思っていました。時には、太っている「気がして」、それだけでとても落ち込みました。友達とはほとんど会わなくなり、食べ物や自分のスタイルのことを考える時間がだんだん多くなりました。

ウエストやおしりの形を常にチェックしていました。一日に20回から30回、くまなく見ていました。時々とても寒く感じることがありました。日増しに食べなくなっていったので、何かをする気力がどんどんなくなっていきました。

一日に少なくとも5回は体重を測っていました。体重が減っていない時はウエストをチェックしたし、もっとやせようとしました。時々ケーキやチョコレートをむちゃ食いしました。その後すごく後悔して。たいていは、食べた物を出して体重が減るように吐いていました。まるで、逃げ場のない所をぐるぐる回っているような気がしました。

ある先生が、私がお昼ごはんを食べていないこと、やせてきた(少なくとも先生はそう思っていました)ことに気がついてくれました。先生が私の両親と話をし、私は診療所に連れて行かれました。

はじめは何も知りたくなかったし、助けてもらいたいと思いませんでした。でも認知行動療法(Cognitive Behavioural Theraphy; CBT)という治療を始めたんです。考え方、感じ方、行動には関連性があることを知りましたが、もっと大事なのは、規則正しく食べても体重は増えないと知ったことです。

だんだん体重が増えてきて、今度はスタイルをチェックしたり体重を測る癖をなんとかしようと思いました。すぐにはよくなりませんでした。私は今まで食べなかったような物を、少しづつ食べるようになりました。今でも時々、前にしていたような考え方に戻ってしまうことがありますが、これは、いくつもある考え方のうちのひとつでしかないし、自分のあり方のひとつでしかないし、たいていは、そのやり方をとらないようにしたほうがいいとわかっています。

今は友達と夜出かけるのがすごく楽しいし、両親ともそんなに口げんかをしなくなりました、まあ、少なくとも食べ物に関してはですけど。

摂食障害って何ですか?

体重、体型、食事を気にすることは、とくに若い女の子の間によく見られます。太りすぎや肥満はいろいろな問題、とりわけ健康上の問題の原因になります。太りすぎの人はたいてい、もっと健康な食べ方をするだけで体重を減らせることが多いのです。簡単なようですが、体重を減らすための方法を見つけるにはアドバイスが必要な場合があります。


摂食障害
若い人たちの多くは、そもそも全然太っていないのに、もっとやせようとします。たいていは、ダイエットをしたり食事を抜いたりして体重を減らそうとします。中には、体重のことが頭から離れなくなってしまう人がいます。それが深刻な摂食障害に進むおそれがあります。このリーフレットでは、よく見られる摂食障害、拒食症(神経性無食欲症)過食症(神経性大食症)についてお話しします。

  • 拒食症の人は、常に(たとえやせていても)太っていることを気にし、あまり食べません。かなり体重が減り、生理が不順になったり止まったりします。
  • 過食症の人も体重を非常に気にします。ほとんど食べなかったり、おなかがいっぱいになるまでむちゃ食いしたりを交互に繰り返します。吐き戻したり下剤を使ったりして体重をコントロールします。

どちらの摂食障害も女子によく見られますが、男子にも起こります。あらゆる生い立ちや文化の青少年に起こるおそれがあります。

拒食症または過食症にはどんな兆候がありますか?

  • 体重が減少する、または不自然に変動する。
  • 生理が不順になったり止まったりする。
  • 食事を抜かす、ほとんど食べない、「太る原因になる」ような食べ物を避ける。
  • 人前では食べない、人に隠れて食べる。
  • 戸棚から食べ物が大量になくなる。
  • 標準体重以下でも、太っていると思う。
  • むちゃな運動をする。それをたいてい人に隠れてする。
  • 食べ物のことで頭がいっぱいになる、誰か他の人のために料理を作る、カロリーを計算し目標体重を決める。
  • 食後すぐ洗面所やトイレに行く。
  • 体重をコントロールするために下剤を使ったり吐き戻したりする。また時には、体重を減らすために他の薬やハーブ薬を使う。

親御さんや先生方にとっては、青少年に見られる普通のダイエットと深刻な症状の違いを見分けるのは難しいかもしれません。お子さんの体重や食事の仕方が気になる方はかかりつけ医にご相談ください。また他の機関から支援やアドバイスを受けることができます。

摂食障害はどんな影響がありますか?

摂食障害の人には、身体的・情動的な問題が起こりえます。これには次のようなものがあります:

  • とても寒がる。
  • 頭痛やめまいがする。
  • 髪や肌の状態が変わる。
  • 疲れやすく、日常生活に支障がある。
  • 発達が悪かったり、骨や臓器の障害など、健康を害する。
  • 生理が止まったり、不妊のおそれがある。
  • 不安やうつ状態が見られる。
  • 集中力がなくなる、学校、大学、仕事を休むようになる。
  • 自信を失う、友達とつき合わなくなる。
  • 親離れができない、親への依存心や関わりが深くなる。

病気に気が付かないでそのまま放っておくと、拒食症も過食症も生命をおびやかす状態になるおそれがあるということを是非覚えていてください。時間がたつにつれ、治療が難しくなりますし、もっと深刻な影響が出てきます。

摂食障害の原因は何ですか?

摂食障害にはさまざまな原因があります:

  • 心配事やストレスにより、食べることに安らぎを感じるようになります。これは体重増加を気にする原因になることがあります。
  • ダイエットをしたり食事を抜くと、食べ物に対して強い欲求を感じたり、自制がきかなくなったり、過食につながります。
  • 拒食症または過食症は、極端なダイエットの結果生じる場合があります。おそらく、家庭崩壊、家族の死や別れ、学校でのいじめ、虐待など、傷つくような出来事がきっかけになります。
  • 生活上でのストレスを強く感じている場合、拒食症と過食症は、自分で何かをコントロールしていると感じられる手段なのかもしれません。
  • 友達との別れ、からかうような発言、試験の結果などの日常的な出来事も、傷つきやすい人にとっては引き金になってしまいます。

 

どんな人が摂食障害になりますか?

摂食障害のなりやすさが高まる要因には、次のようなものが挙げられます:

  • 女性である
  • 以前太っていた
  • 自尊心がない
  • 完壁主義者

摂食障害がある青少年には、強迫行為がよく見られます。

他の人に比べて摂食障害になる危険が高い人たちがいます。感受性が強くて心配性で、親離れできにくい人はさらに危険です。摂食障害は、家族内で遺伝する場合があります。摂食障害がある青少年の家族はたいてい、子供の変化や意見の対立をことのほか大変だと感じます。だいたい通常よりもずっと親密になったり過保護になりがちです。

どこで支援してもらえますか?

若い人に摂食障害の症状が見られたら、心配事があるか、本人に遠慮せずに聞いてみましょう。摂食障害がある若者のほとんどが、問題があることに気がついていませんし、人から干渉されたいと思わないでしょうし、怒ったり気分を害したりしてしまうかもしれません。

しかし、まだ気になるなら、かかりつけ医や児童・思春期専門の精神保健サービス(Child and Adolescent Mental Health Services; CAMHS)のようなさまざまな機関を通じて専門家のアドバイスを受けることができます。助けてくれる人がいる、一人ではない、と気付くことが大切です。

自分ではどんなことができますか?

次のような簡単なアドバイスは、青少年が健康体重を維持したり摂食障害にならないよう、手助けするのに役に立ちます:

  • 規則正しい食事をする。英国管理栄養士協会(British Dietetic Association)が推奨しているように、一日を通して規則正しく食べる。つまり一日3回食事をして、合間に3回、くだもの、ヨーグルト、ナッツ類など栄養価が高いものをとる。糖分や脂肪が過剰なスナック類は避けた方がよい。
  • 「バランスのよい食事」を心がける。パン、米、パスタ、シリアルなどの炭水化物をはじめ、身体に必要なあらゆる種類の食べ物を毎回食事に取り入れる。
  • 食事を抜かない。食事の間隔があくと過食になりやすい。
  • 定期的に運動する。
  • 他の人が食事を抜いたり体重について話していても、影響されないようにする。

 

どういう時に専門家の支援が必要ですか?

摂食障害が原因で、家族のが食事の団らんがストレスになるようであれば、専門家に支援を求めることが大切です。

その地域でどのような専門家の支援が可能か、かかりつけ医がアドバイスや紹介をしてくれます。たいてい、各地域にある児童・思春期専門の精神保健サービス(CAMHS)になるでしょう。

摂食障害で身体的な健康問題が起こった場合、医療機関ですぐに診察を受けることが必要です。治療しなければ、不妊になったり、骨がもろく(骨粗しょう症)なったり、発育不良の危険があり、また死に至ることもあります。しかし治療を受ければ、たいていの若者はよくなります。

さらに詳しく知りたい方のために

B-EAT – 電話相談窓口 0845 634 1414、 青少年向け電話相談窓口 0845 634 7650。

YoungMinds – 児童のこころの健康の問題に関して情報やアドバイスを提供します。保護者向け情報サービス 0800 802 5544

King’s College London – 摂食障害や他の病気についての最新の情報が載っているウェブサイトです。

参考資料

Anorexia Nervosa: a survival guide for families, friends and sufferers by Janet Treasure.

R. L Palmer, Anorexia Nervosa: A Guide for Sufferers and Their Families.
National Institute for Health and Clinical Excellence: Eating disorders: information for the public.

参考文献

  • Rutter, M. & Taylor, E. (eds) (2002) Child and Adolescent Psychiatry (4th edn). London: Blackwell.
  • Nice Guideline (2004) – Core Interventions in the treatment and management of Anorexia Nervosa, Bulimia Nervosa and related eating disorders.

Translated by Mika Yamada-Reynolds, Chiaki Mackie and Dr Nozomi Akanuma. September 2013

© [2013] Royal College of Psychiatrists. This leaflet may be downloaded, printed out, photocopied and distributed free of charge as long as the Royal College of Psychiatrists is properly credited and no profit is gained from its use. Permission to reproduce it in any other way must be obtained from the Head of Publications. The College does not allow reposting of its leaflets on other sites, but allows them to be linked to directly.

 

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