記憶障害と認知症
Memory problems and dementia
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免責事項
多くの人は、年をとるにつれて物忘れをするようになります。
認知症やアルツハイマー病の初期症状ではないかと心配しがちですが、
他の理由による場合も多くあります。認知症という深刻な問題に発展するのはごく一部です。このウェブサイトでは、認知症を含む記憶力低下の原因や、自分自身や他人の記憶力が心配なときに支援を得る方法について紹介します。
ストレス、うつ病、死別による悲しみ、さらには、ビタミン不足や感染症といった身体疾患まで、さまざまなことが記憶力に影響を及ぼすことがあります。1
以下では、2つの具体的な記憶障害に焦点を合わせて説明します。アルツハイマー病を含むさまざまな形で現れる認知症と、軽度認知障害(MCI)です。
認知症とは?
認知症とは、記憶に影響を及ぼす疾患群を表す一般的な用語です。
- 物事を覚えるのが難しくなり、思考にも問題が出てきます。そのため、日常生活が難しくなってきます。
- このような問題は悪化の一途をたどります。つまり「進行性」です。通常の加齢によるものではありません2。
認知症には多種多様なタイプがあります。いずれも記憶力の低下を伴いますが、それ以外にも症状があり、症状は原因によって異なります。認知症は多くの場合、記憶障害から始まりますが、次のようなことが困難になる場合もあります。
- 日々のタスクの計画、実行
- 他者とのコミュニケーション
また、気分や決断力、性格に変化が現れることもあります。
認知症は「進行性」であるため、認知症の人は時間が経つにつれて他の人に頼らなければならなくなります。
認知症はよくあることでしょうか?
現在、英国では85万人以上が認知症と診断されています3。年齢が上がるにつれてよく見られるため、
- 65歳になると、100人に2人が認知症になります。
- 85歳までには、5人に1人が何らかの認知症になると言われています4。
認知症は若くして発症することも、同じ家系で発症することもありますが、一般的ではありません。
軽度認知障害とは?
軽度認知障害(MCI)とは、それほど深刻ではない記憶障害です。日常生活に大きな支障はなく、認知症と呼ぶほどには重症ではありません。気づく症状は次のとおりです。
- 人の名前、場所、パスワードを忘れる。
- 物を置き忘れる。
- 予定していたことを忘れる。
65歳以上の10人に1人はMCIです。このうち、10人に1人が1年以内に認知症を発症します5。認知症になる人とならない人を予測することはまだできません。
認知症にはどのようなタイプがありますか?
以下に、最も一般的な認知症について説明します。ただし、これらの障害が複数現れることもあります。それが、「混合型認知症」です。
アルツハイマー病
アイリーンは、82歳の元秘書で、身体が弱った90歳の夫を介護しながら同居しています。彼女は健康で、薬も飲んでいません。
この2年間、アイリーンが鍵をなくしたり夫に薬を渡すのを忘れたりしていることに、アイリーンの娘たちは気づいていました。アイリーンは、常日頃、車の運転がかなり上手でした。しかし今、彼女の車はバンパーがへこんでいて、側面に少し傷があります。これらについて尋ねても、アイリーンはうまく説明できません。また、新しいリモコンでテレビをつけることもできません。最初は年齢や介護のストレスが原因だと思われました。
アイリーン自身も、記憶力に問題があるとは感じていません。娘たちから記憶力が心配だと言われると、イライラして動揺してしまいます。説得の末、ようやく彼女は一般開業医(GP)の診察を受けることに同意しました。一般開業医(GP)は簡単な記憶テストを行い、アイリーンに記憶専門医を紹介しました。
アルツハイマー病は、認知症患者全体の約10人に6人の割合を占めています6。通常は記憶障害から始まり、時間の経過とともに徐々に悪化します。何年も前のことは覚えていても、最近起きたことは思い出せないのはよくあることです。
また、特定の単語を思い出したり、物に名前をつけたりするのが難しいこともよくあります。本人は記憶障害に気づかず、周りが気づく場合もあります。認知症の人は、次のことも難しくなります。
- 新しいことを学ぶ。
- 最近の出来事、約束、留守番電話のメッセージを思い出す。
- 人や場所の名前を思い出す。
- 他人を理解する、またはコミュニケーションをとる。
- 物をどこに置いたか覚えておく。思い出せずに、誰かが家の中に入ってきたように感じたり、物を取られたように感じたりしてとても動揺することがある。
- 自分に問題があると理解する。他人が手を貸そうとすると、感情が害される。
こうしたことが難しいために、簡単な日常生活に対処することがますます難しくなります。
アルツハイマー病の知り合いがいる人は、その人の性格の微妙な変化に気づくことがよくあります。 発症する前とは違う行動や反応をするのです。
アルツハイマー病では、アミロイドやタウと呼ばれるタンパク質が脳内に蓄積し、「プラーク」や「タングル」と呼ばれる沈着物を形成します。これらの部位の脳に損傷が生じると、細胞から細胞へメッセージを伝達する脳内の化学物質、特にアセチルコリンと呼ばれる物質に影響が出ます7。
血管性認知症
ジョンは78歳の元エンジニアです。高血圧と糖尿病を患っており、コレステロールは高い値を示しています。2度の心臓発作の後、1年半前に血管形成術(閉塞した動脈を開く手術)を受けましたが、今でも時々胸が痛みます。
最初の発作の後、しばらく記憶力が低下しましたが、その後回復したように思われました。しかし、2回目の発作の後、物忘れが多くなり、以前のように集中できないことに妻と息子は気づいています。気分の浮き沈みが激しく、すぐにイライラして怒ることもあれば、はっきりした理由もなく涙を流すこともあります。歩き回ることが難しくなり、失禁してしまったことも1~2度あります。彼はそれがとても恥ずかしかったようです。一般開業医(GP)が彼の最近の記憶力に問題があることを発見し、その後に脳のMRIスキャンによって、小さな脳卒中の痕跡が多々あることがわかりました。
これは、血管の損傷によって脳への血液供給が減少するために起こります。つまり、脳の一部に十分な酸素と栄養が行き渡らなくなり、脳細胞が死んでしまうのです。
血管性認知症には、次を含みます。
- 脳卒中に関連するもの - 血栓などにより脳につながる血管が突然閉塞する。
- 皮質下型認知症 - 血管が非常に細くなり、血流の低下する脳の下部が侵されるタイプの認知症。
動脈が詰まる可能性のある疾患のいずれかを患っている場合、血管性認知症になる可能性が高くなります。高血圧、糖尿病、高コレステロール、そしてもちろん喫煙などです8。
脳のどの部分に影響するかによって問題が異なってくるため、血管性認知症がどのように進行するかを予測することは困難です。次のようなことが起こる場合があります。
- 記憶力の低下、集中力の低下。
- 言語障害。アルツハイマー病に類似。
- 気分変動やうつ病。
- 歩行困難や失禁などの身体的問題。
レビー小体型認知症/パーキンソン病認知症
テリーは66歳の元教師で、一人暮らしです。半年前に退職して以来、彼は気分が落ち込んでいて、思考力が本当に鈍っていると感じています。
ここ数カ月間、右腕が震えていることに気づいており、昨日は道で転倒しました。足をひきずっていることにも気づき、いつも活発で運動神経がいいと思っていただけに動揺しています。運転中に注意散漫になり、事故に遭いそうになったことを、彼の娘であるキャスは心配していました。彼は、朝起きるとベッドがいつもぐちゃぐちゃで、アザができていることもあるので、睡眠不足が原因だと言っています。
数週間前から、夜になると部屋の隅で子供が静かに遊んでいるのが見えるようになりました。ある晩、その子に食べ物をあげようとしましたが、娘にはその子が見えないことがわかったのです。キャスは、彼が日付を覚えたり、身の周りのことを計画したりするのが下手になってきていると感じています。
一般開業医(GP)は心配になり、物忘れ外来に紹介状を書きました。脳スキャンの結果、レビー小体型認知症と診断されました。
これは、脳内に蓄積されたタンパク質沈着物(レビー小体)によって引き起こされます9。パーキンソン病の症状が現れますが、多くの場合は疾病の後期になってからです。症状には次のようなものがあります。
- 記憶障害。作業計画を立てることが難しくなる。
- 1日の流れで刻々と変化する混乱。
- 人や動物の鮮明な幻視。
- 睡眠障害、夢遊病。
- 手の震え、筋肉のこわばり、転倒、歩行困難などのパーキンソン病の特徴。
前頭側頭型認知症
このタイプの認知症は主に若い人に起こります。前頭部の脳が他の領域よりも影響を受けます。 多くの場合は、50代から60代で発症します11。
性格や行動の変化、言語障害が引き起こされがちです。記憶力は長い間影響を受けない場合もあります。主に3つのタイプがあります。
- 行動面 - 普段はとても礼儀正しくきちんとした人が、イライラするようになったり、無礼になったり、身だしなみに関心がなくなったりすることがある。
- 意味性認知症 – 主な兆候として、言語の理解力や記憶力に問題が生じる。
- 進行性非流暢性失語 – 発話や自発言語が困難になる。
大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症(LATE)
最近になって、死後脳組織検体の研究により新しい認知症が確認されました。この病気は高齢者に一般的であり、上記に記した他の障害と共に見られます。LATEの診断法はまだ確立されていません。10
稀な原因
認知症の原因には他にも様々なものがあります。以下はその数例です。
- 大脳皮質基底核変性症
- クロイツフェルト・ヤコブ病
- HIV関連認知障害
- ハンチントン病
- 多発性硬化症
- コルサコフ症候群
- 正常圧水頭症
- 後部皮質萎縮症
- 進行性核上性麻痺
認知症の診断法は?
医師は本人に現れる一連の症状を識別し、これらの症状がどのように日常生活に影響するかを調べることにより認知症という診断を下します。
このため、最初のステップは本人のことを知るための面談です。質問票は思考力や記憶力を検査するために使用されます。これを「認知機能検査」といいます。手を叩くなどの簡単な動作を含む身体検査が行われます。何が起きているのかを説明できる親族と話すことができれば、評価をする上で役立ちます。
最初の面談は、問題のある領域を特定することを助け、認知症の種類に関する手がかりを与えます。これらの症状に対する別の原因を探るために血液検査と脳スキャンが行われることもあります。スキャン(CT/MRI脳スキャン)は認知症の種類を特定する一助となり、ひいては治療に導くことができます。12
今では早期診断をする上で、専門医のいる物忘れ外来へ紹介することが一般的です。認知症の人は、精神科医や老年科専門医、心理療法士、作業療法士、看護師など一連の専門職と面談することが多いです。
認知症にかかるリスクのある人は?
私たちの誰もが認知症を発症する可能性はありますが、加齢により当然の成り行きとして必ず発症するという病気ではありません。疾患によっては、認知症の可能性が高まるものがあります13。
以下はその数例です。
- パーキンソン病
- 脳卒中と心臓病
- 高血圧と高コレステロール値
- 2型糖尿病
これらのリスク要因(特に高血圧と糖尿病)の治療と管理に努めることは重要です。中高年のうちに難聴や肥満、社会的孤立、うつ病に伴う問題を管理することも一助となる可能性があります。14
様々な種類の認知症を発症するリスクを高める可能性のあるライフスタイル要因には15以下が含まれます。
- 喫煙
- 安全なレベルを超える飲酒(週14ユニット超)
- 偏った食生活
- 運動不足
- 太り過ぎ
- 度重なる頭部外傷(ボクサーなど)
世界保健機関は、喫煙の停止、飲酒の削減、運動の増加、健康的でバランスの取れた食事(特に地中海式ダイエット)を推奨しており、特にこれらの生活習慣の変更を40歳代や50歳代で始めた場合、認知症のリスクを軽減する可能性があるとしています。16
遺伝子も認知症に関係しています。通常65歳以上のアルツハイマー病は遺伝性疾患によって起こるものではありませんが、いくつかの遺伝子は少量でも発症リスクを増加または低下させることが明らかになっています。17親族が認知症にかかったとしても、あなたも認知症を必ず発症するというわけではなく、今のところ個人的なリスクを予測できる検査は存在しません。
「若年性認知症」にかかる家族も存在しますが、そこには遺伝子が強く関与しているようです。また、ダウン症の人も早期に認知症を発症する可能性が高くなっています。1765歳になるまでに認知症にかかった人が家族内で複数いる場合、臨床遺伝専門医に相談するとよいでしょう。
認知症に対する治療法はありますか?
どのような診断がなされたか、またどのような環境にいるかにより治療は異なります。 残念ながら、上記の病気について完治のための治療法はありません。認知症の人が日常の移動も含め自立して生活できるよう、働きかけ、支えていくことはとても大切です。
- アセチルコリンエステラーゼ阻害剤という種類に分類される薬が数種類あります(ドネペジル、ガランタミン、リバスティグミン)。また、メマンチンという別の種類の薬もあります。これらはアルツハイマー病の症状の進行を遅らせる場合があり、独立した生活を維持する一助となることがあります。18これらの薬剤は、幻覚を伴うレビー小体型認知症にも有効なことがあります。19「アルツハイマー病の薬物治療」の情報をご覧ください。
- 血管性認知症の場合、高血圧や高コレステロール血症、糖尿病があれば、一般開業医(GP)がそれに対する薬剤を勧めることがあります。タバコをやめ、健康的な食事を摂り、運動することも重要です。
- 一般的に、認知症リスク軽減のためにといって、ビタミンBおよびE、脂肪酸(魚油など)、複合サプリメントを摂取することはお勧めしません20。ただし、ビタミン欠乏症が認められ、その治療のために一般開業医(GP)が勧めることはあります。補完療法は処方薬との相互作用の可能性があるため、そうした薬剤の使用を考えている場合は、かかりつけ医に相談することが重要です。
- 集団認知刺激法という心理療法は、思考力を刺激する集団ゲームを用いることにより、記憶力や生活の質を改善するのに有効であるとされています。21
- 回想法には、過去の活動や出来事、経験などを別の人や集団と話し合うことが含まれます。これは理解力と知識(認知力)の両方に役立ち、介護者の負担を軽減する一助にもなることがあります。22
- 認知症の進行速度はかなり変わってきます。認知症の診断後も何年にもわたり活動的かつ生産的で意義ある生活を送ることができます。
私は認知症にかかっています。どのように他の人を助けることができますか?
英国および世界では、認知症の原因や治療法に関する数多くの研究が進行中です。現在、英国では主に3つの研究ネットワークが実施されています23。
- イングランド - Dementias & Neurodegenerative Diseases Research Network (DeNDRoN)
- スコットランド - The Scottish Dementia Clinical Research Network(SDCRN) - このウェブサイトは現在準備中です。
- ウェールズ - The Wales Dementias and Neurodegenerative Diseases Research Network(NEURODEM Cymru)
「Join Dementia Research」は、英国における患者または介護者としてのあなたの関心事を登録する主な方法です。また、本人から同意を得た上で、他の人を登録することもできます。
このサービスは、関心を持つボランティアと研究者をつなげるために、スコットランド・アルツハイマー協会、英国アルツハイマー病研究、アルツハイマー病協会と協力し、国立衛生研究所(NIHR)が開発しました。
また、地元でどのような研究が行われているのか、一般開業医(GP)または地元のメンタルヘルスチームに尋ねることもできます。
自分でできることは?
簡単かつ具体的なステップ
- 日記をつけて約束を忘れないようにする。
- やるべきことのリストを作る。済んだらチェックマークをつけること!
- 本を読んだり、クロスワードパズルや数独などの頭の体操をして頭の働きを活発に保つ。
- 人とつながり社会と関わり続ける – 地元のメモリーカフェを見つけたり、自分が楽しめる社会活動を見つけたりする。
- 健康的な食事をとり、運動をする(これは年齢に関わらず良いことです)。
- 日常生活に支障をきたしている場合は支援を得る、または、あなたが身の回りのことができていないと周囲の人々が感じている場合はアドバイスを得る。あなたができる限り自立した生活ができるように、家族や友人、サービスが支援できる方法はたくさんあります。
計画をたてる
金銭管理や服薬に関する判断など、生活の中で重要な事柄について意思決定を行うことが難しいと感じ始める時期がくるかもしれません。あなたは、認知症が思考力に影響を及ぼす前に、自分が意思決定を行うとしたら何を望むかに基づいて、信頼できる親族や友人、または弁護士に対し、あなたの代わりに意思決定を行う権限を与えることができます。
これを継続的代理権(Lasting Powers of Attorney; LPA)といいます。24弁護士はLPAの作成を手伝います。LPAは2種類あり、一つは「財産および金銭」の管理に関する代理権、もう一つは「健康および福祉」に関する代理権です。
- 財産および金銭LPA - 銀行口座や投資、不動産売却、納税、福祉手当などに関する意思決定を行うために法定代理人が指名されます。
- 健康および福祉LPA - 治療や日常のケア、住居などに関する意思決定を行うために法定代理人が指名されます。
すべてのLPAは、使用する前に、Office of the Public Guardianに登録する必要があります。
注:持続的代理権(Enduring Powers of Attorney; EPA):現在、EPAに代わりLPAが適用されています。ただし、2007年10月1日以前に執行された有効なEPAは、まだ登録されていなくても、引き続き有効です。
Advance Decisions(医療事前指示書) - 自分で意思決定を行えなくなる場合に備え、特定の治療を拒否するなどの指示を記録しておくことができます。あなたのケアをする専門職は、これらに従います。25この文書はLPAと同時に、または別に作成することができます。
「This is me」
記憶障害のある人のために、専門職が本人の重要情報を簡単に参照できるようにする必要があります。
「This is Me」は、このために作成する文書です。本人の既往歴や生活習慣、好みなどに関する有益な情報が数多く記載されています。 この文書はAlzheimers.orgウェブサイトから入手可能であり、診察時や入院時に持参することができます。
運転
認知症と診断されたからといって、運転を止める理由にはなりませんが、認知症が進行するにしたがい運転能力は低下します。これは空間視覚認識の変化や注意力の低下、状況判断力や意思決定力に影響を及ぼすからです。こうした能力喪失に対して人々の理解が不足しているかもしれません。26
- 英国の法律は、運転免許証を有する人が認知症と診断された場合、関連の免許庁、すなわち運転免許庁(DVLA)または北アイルランドの場合は運転免許庁(DVA)に診断の旨を速やかに連絡することを定めています。27
- 認知症の人が免許庁に連絡をせず、その人の運転能力について不安があると医師が判断した場合、医師は免許庁に報告する義務があります。28
- 認知症が運転能力に影響を及ぼしていると医師が判断した場合、医師は速やかに運転を止めるよう、または少なくとも運転免許庁(DVLAまたはDVA)による調査の結果が出るまでは運転を止めるよう本人に伝えます。
- 運転者は、保険証書が有効であるかどうかを確認するため、保険会社にも連絡する必要があります。
- 運転評価は、認知症が運転能力に影響を及ぼしているかを明確にするために役立ちます。この情報は、運転を続けてもよいか否かを免許庁が判定する際に有用です。この評価には、有効な運転免許証が必要です。免許庁が判定を下すのを待つ間、評価を受けることができます。
- 多くの人々は自ら運転を止めることを選び、運転免許証を運転免許庁(DVLAまたはDVA)に返納します。これを「自主返納」といいます。
うつ病と不安障害
うつ病と不安障害は認知症の人によく見られます。しかし、うつ病が認知症のように見える可能性もあります。29 認知症と同様、うつ病は自分の身の回りのことをする能力に影響を及ぼすことがあります。
これは「仮性認知症」といい、識別して治療することは重要です。あなたや親族が抑うつ状態にあると思われる場合、まずは一般開業医(GP)に相談してください。うつ病は抗うつ薬とトークセラピーで治療できます。30
支援を受けるには
もし物忘れがひどいことが心配でしたら、一般開業医(GP)の診察を受けるようにしてください。医師は簡単な記憶力の検査や血液検査をします。必要とあれば専門チームや心理療法士、専門医を紹介します。
以下の組織は、認知症のあらゆる段階で情報や支援を提供しています。実際の活動や日常のケア、福祉手当などについて支援が必要でしたら、地方自治体に相談し、公的ケアや介護者の支援サービスに関してアドバイスを受けてください。
他の情報源と支援団体
地元の医療サービスや認知症に関する情報を提供しています。
アドバイスおよび支援の国立ヘルプライン:0300 222 11 22.
Eメール:helpline@alzheimers.org.uk
国立認知症ヘルプラインは、認知症の影響を受けている人から話を聞き、そうした人に適切な指導を通じて情報やアドバイス、支援を提供しています。
Age UKグループは、高齢者の生活改善のためのサービスや必要不可欠なサポートを提供し、すべての人が人生の後期をより良く過ごせるような活動をしています。電話番号:0800 169 8787 Eメール:contact@ageuk.org.uk
相談窓口:0808 808 7777Carers UKは、友人や親族の介護を無報酬で行っている介護者を支援しています。
独立したアドバイスを、守秘義務を守り、無料で提供しています。福祉手当や金銭計画、ケアの手配などの支援に関する情報が地元のオフィスで得られます。
この慈善団体はレビー小体型認知症に関する研究に資金を提供し、レビー小体型認知症とその影響について理解する必要のある家族や介護者に情報を提供し支援しています。
代理権や終末期医療事前指示書の作成に関わる法的問題について多くの有益な情報を有し、弁護士を見つけるための有益な情報源にもなります。
Court of Protection(自己決断能力のない人のための保護法廷)への申請
あなたが知っている人や介護をしている人が、健康や経済、福祉に関して自分で決断を下すことが難しくなった場合、あなた(あるいは他の誰か)が本人に代わって決断するためにはCourt of Protectionに申請する必要があります。
イングランドとウェールズにおける公的機関です(スコットランドと北アイルランドでは異なる制度があります)。持続的代理権(Enduring Powers of Attorney; EPA)および継続的代理権(Lasting Powers of Attorney; LPA)の登録、Court of Protectionによって任命された代理人の監督を通じて、公的後見人をサポートしています。
参考文献
「処方箋を熟読するための本(Reading Well Books on Prescription)」計画は、セルフ・ヘルプ本のリストを作成することにより認知症の人とその介護者を支援します。これらの本は医療専門家や認知症を経験している人から推奨されています。
本は医療従事者から推奨されることもあり、人々は自己言及し、地元の図書館から無料で借りることができます。
このリストにある本は、情報とアドバイス、認知症と共に生きる、親族や介護者への支援、個人的な話という4つの分野に分類されています。
- Alzheimer's and Other Dementias: answers at your fingertips.Cayton, Graham, & Warner.Class Publishing (London) Ltd.3rd edition 2008.
- Your Memory: a users guide.Baddeley.Carlton Books (London).Revised edition 2004.
- Dancing with Dementia:My story of living positively with dementia.Bryden.Jessica Kingsley Publishers (London & Philadelphia).2005.
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This translation was produced by CLEAR Global (Dec 2023)