補完代替療法 1

Complementary and Alternative Medicines 1

 

 

ハーブ療法とサプリメント(栄養補助食品)

このリーフレットはこころの健康の問題のために補完療法をお考えの方々向けに、以下の内容で書かれています:

  • 脳機能と認知症
  • 不安性障害と睡眠障害
  • うつ病と双極性障害
  • 精神病状態
  • 運動障害
  • 薬物依存症
  • スペシャリストを見つける方法
  • 参考になるウェブサイト

 

補完代替治療とは?

近代医療の主流とは別に発展してきた治療法です。その多くは様々な文化の中で何世紀もの時間をかけて発展してきた伝統的な治療法です。以下が含まれます:

  • ハーブを使った治療法
  • 食事療法
  • ビタミンやミネラルなどのサプリメント(栄養補助食品)

これらの療法は単独で用いられたり、一般的な薬と併用されたりします。

補完代替療法とこころの健康の問題

数多くの補完代替療法がこころの健康の問題にも用いられてきましたが、未だ十分な科学的根拠がないのも事実です。効果があるものもありますが、ほとんどは十分に検証されていません。これまでの研究は規模が小さ過ぎて、因果関係を説明するには不十分です。よく知られているのはうつ病、不安性障害および睡眠障害に対する治療法です。

十分な科学的根拠がないにもかかわらず、世界中で補完代替療法が利用されており、効果があるとの声も多いです。究極のところ、補完代替治療を選択すべきかは、個人の状況によります。まずは、かかりつけ医(GP)や精神保健チームの担当者への相談することをお勧めします。

以下の状況にある方で補完代替療法をお考えの方は専門家にご相談ください。

  • 妊娠中、または授乳中の方
  • 補完代替治療薬をお子様に服用させたい場合
  • スポーツ競技に参加するアスリートで、服用しようとする補完代替治療薬がドーピング規定に適合するかどうかを確認したい場合

 

補完代替療法を安全に利用するには?

すべきこと

  • 公認の機関に所属し、資格を持つセラピスト(療法士)を選ぶ。
  • 資格や治療経験についてセラピストに尋ねる。
  • どんな副作用があるか質問する。
  • 疑問を感じたら、かかりつけ医や看護師、薬剤師に聞く。
  • これまでの治療や服用中の薬のことを、治療に関わっている医師や補完代替療法のセラピストへ伝える。
  • 妊娠中、授乳中、または妊娠する予定がある場合はその旨を伝える。
  • 自分の身体面の健康状態とアレルギーに関して伝えておく。
  • 治療について心配なことがあったら相談する。
  • 普段と異なる症状が出たら、医師に相談する。
  • 治療を受ける際はきちんと時間を取る。
  • 治療についての情報は、信用できる情報源から入手する。

すべきではないこと

  • かかりつけ医に相談せずに服用中の薬を止める。
  • 「万能薬」といったうたい文句を信用する。
  • 経験豊かなスペシャリストに確認せずにサプリメントを一度に多く服用する。
  • 何種類もの治療薬を組み合わせて飲む。
  • 何のための治療薬なのか分からないまま服用する。
  • 他の人のために出された治療薬を飲む。
  • スペシャリストのアドバイスなしで、子どもに薬を飲ませる。
  • インターネットも含め、信用できないところから購入した薬を服用する。
  • 生の植物(例えば花、果実、葉、種、根など)を安全性の確認をせずに服用する(多くの植物は有毒で、安全に服用するには処理が必要です)。
  • 安全性を確認せずに、自分で生のハーブからお茶を作ったり、エキスを作ったりする。
  • 生の植物を使って喫煙する。
  • 高価なものを、品物を受け取る前に前払いで購入する。
  • トレーニングを受けずに、鍼やその他、身体に直接影響する療法を自分でおこなう。
  • もし治療が効かなかった場合は自分が悪かったと考える。

 

ハーブ療法とサプリメント

ハーブ療法は植物が原料になっています。可能であれば、規格化された薬、つまり一瓶に入った薬や一つの錠剤の成分が同量のものを選んでください。普通の薬と比べ、植物を主成分とした薬が必ずしも安全というわけではありません。すべてに副作用や他の薬との相互作用の可能性があります。

サプリメントにはビタミン、ミネラル、そして肝油のような動物性・植物性の製品があります。副作用や他の薬との相互作用の可能性があります。ビタミンCなどのサプリメントを多く摂取する人もいますが、これは腎臓や肝臓を悪くする原因になります。多くのサプリメントは一日の摂取量の目安や制限があります。経験を積んだ専門家に相談なく、一日あたりの摂取量を超えた量を服用することは控えてください。

脳機能と認知症

以下は「認知増進剤」と呼ばれるもので、集中力を高めることがあります。

  • イチョウ葉エキス(ginkgo biloba)
  • 朝鮮人参(panax ginseng)
  • 麦角(claviceps purpurea)
  • セージ(Salvia officinalis, salvia lavandulaefolia)
  • ビタミンE

 

イチョウ葉エキス

イチョウは中国産の樹木です。種子と葉のエキスは健常者や認知症をもつ人の思考能力の改善のために用いられます。

作用
はっきりとは分かっていませんが、以下のような作用が考えられます:

  • 抗酸化作用により、細胞が傷つくのを防ぐ。
  • 脳内の血液の流れを増やしたり、神経伝達物質を増やしたりする。

効果
研究によればイチョウ葉エキスは認知症の方に効果があるようです。健常な成人にも同じことが言えます。しかし、最近はその効果の信憑性について問われています。

副作用
まれに脳や目の出血、および手術中の出血が止まりにくいなどの副作用があります。そういった症例が20件ほど報告されており、手術を控えている人はイチョウ葉エキスの摂取は避けたほうがいいとされています。イチョウ葉エキスは、アスピリンやイブプロフェンなどの血液を薄める薬と共に服用するべきでありません。けいれん発作を起こすリスクや、女性・男性ともに受精機能が低下する可能性が高くなります。

相互作用がある薬

  • 血液を薄める薬、例えばアスピリン、イブプロフェン、ワーファリン(止血にかかる時間が長くなる)
  • トラゾドン (昏睡状態を引き起こした報告あり)
  • 抗うつ剤(気分の高揚、つまり躁状態になるリスク)
  • 抗けいれん剤(効果を弱めてしまう)

 

高麗人参(Ginseng)

高麗人参は世界の多くの場所で育ちます。高麗人参や朝鮮人参が一番良く使われています。

作用
不明ですが、以下が考えられています:

  • 血液を薄める
  • 抗酸化作用により、細胞が傷つくのを防ぐ。

効果
認知機能を改善する効果があるかもしれませんが、アンチ・エイジングなどの科学的根拠はありません。

副作用
興奮や躁状態;睡眠障害;血圧の変化;止血しにくくなるため、脳血管障害や血管のつまり(血栓症)のある方は服用を避けてください。乳がんを引き起こす可能性もあります。

相互作用のある薬

  • 糖尿病の治療に使われる薬(血糖値を下げるもの)
  • 血液を薄める薬、例えばアスピリン、イブプロフェン、ワーファリン(止血にかかる時間を長くする)
  • MAO阻害系抗うつ薬(フェネルジンなど)は興奮および不眠を引き起こす可能性があります。

 

ヒデルジン

ライ麦に付着するカビからきています。カビの付いたライ麦粉から作られたパンを食べていたため、何百年も昔は食中毒の流行がありました。

作用
脳内の神経伝達物質のやりとりに影響を与える可能性があります。

効果
認知症の記憶機能を改善するようです。

副作用
けいれん発作、混乱、幻覚、精神病状態を引き起こす可能性があります。深刻な中毒によって体の組織が局所的に壊死することがあります。

相互作用のある薬

  • 抗うつ剤と一部の鎮痛剤
  • 認知症のための薬
  • 偏頭痛のための薬

 

セージ(Sage)

セージはアロマセラピーで利用されるアロマオイルの原料です。集中力や記憶力を改善し、うつ病や不安障害の治療法として勧められています。

作用
脳内の神経伝達物質のあるものを増やします。抗酸化作用、抗炎症作用、エストロゲンと同様の作用があるかもしれません。

効果
臨床治療試験では、記憶力の回復も見受けられました。ある研究では気分の向上や充実、落ち着きや満足感が見られたと報告されています。認知症の方の集中力を増すこともあります。

副作用
食品に含まれる程度の摂取なら安全ですが、セージの種類によっては経口摂取によりけいれんを引き起こすものがあります。またセージは血糖値を下げることもあります。妊娠中や授乳中の方は摂取しないでください。

相互作用のある薬

  • 糖尿病の薬
  • てんかんの薬
  • 鎮静剤

 

ビタミンE(α-トコフェノール)

ビタミンEは植物油やナッツ、野菜、さらに少量ですが肉や乳製品にも含まれています。

作用
抗酸化作用により、細胞が傷つくのを防ぐようです。

効果
認知症の行動を改善するようですが、記憶力の回復や認知症自体の進行を遅らせるという科学的根拠はありません。

副作用
最近の研究によると、一日に400IU(270ミリグラムのα-トコフェノール)以上摂取すると、原因に関わらず死亡者数が増加し、出血や脳卒中のリスクを高めるという結果が出ました。

相互作用のある薬

  • 血液を薄める薬
  • 麻酔薬やコカイン
  • コレステロールを下げる薬、および一部のがん治療薬

 

不安障害と睡眠障害

ここで紹介する治療薬は、概してガンマ・アミノ酪酸(gamma-amino-butyric acid; GABA)に働きかけるようです。GABAは脳内にある神経伝達物質で、「不安」に関連しています。これらの薬に習慣性があるかどうかは不明です。一般に処方される鎮静剤や睡眠薬ほど効果は強くありません。

注意事項

  • カバ(piper methysticum)は肝臓に障害を起こす疑いがあるため、英国では購入できなくなっており、使用すべきではありません。
  • ハーブエキス同士の組み合わせは危険です。バレリアンと他のハーブの組み合わせは肝臓に支障をきたす恐れがあります。

以下のような治療薬があります:

  • バレリアン(カノコソウ)
  • パッションフラワー(チャボトケイソウ)
  • ジャーマンカモマイル
  • ホップ(セイヨウカラハナソウ)
  • オーツ麦(マカラスムギ)
  • スターフラワー/ボリジ(ルリヂシャ)
  • レモンバーム(セイヨウヤマハッカ)
  • ラベンダー(タスマニアンラベンダー)
  • バッチフラワーレメディー
  • メラトニン(N-アセチル-5-メトキシトリプタミン)
  • アミノ酸
  • ローズルート
  • ビタミン、微量元素、サプリメント

 

バレリアン(カノコソウ)(Valerian)

薬用バレリアンは、安全とされており、英国では規格化されたハーブエキスとして販売されています。バレリアンの種類によっては肝臓にダメージを与える可能性があります。

作用
GABA系神経伝達システムに働きかけるとされています。カフェインの影響を和らげる効果もあるとされています。

効果
現時点では不明な点もありまずが、バレリアンが安眠をもたらすとの研究結果もあります。

副作用
眠くなったり、興奮気味になったりします。反応が鈍くなるかもしれないので、このハーブを飲んだ後には車の運転や危険な機械の操作は避けるべきです。肝臓にダメージを与えるかもしれませんが、これは薬の製法によるようです。妊娠中の方は飲まないでください。

相互作用のある薬

  • 鎮静剤
  • アルコール
  • 避妊薬
  • HIVの薬
  • がんの治療薬
  • てんかんの治療薬や抗真菌剤
  • 血液を薄める薬

 

パッションフラワー(Passion flower)

パッションフラワーは不安障害の治療に利用されます。お酒を飲みたくなる気持ちやアヘン系麻薬の離脱症状の治療にも有効とされています。

作用
GABA系神経伝達システムに働きかけるとされています。

効果
あまり研究はなされていませんが、ある臨床試験では、一般に処方される精神安定剤と同等の効果が見られました。

副作用
通常の服用量でも深刻な中毒が生じたという報告が散見されます。めまい、混乱、心臓の障害、血管炎を引き起こす可能性があります。ある種のパッションフラワーはシアン化物を含んでいるとみられ、調合によっては毒性が出ると考えられます。

相互作用のある薬

  • ワーファリン、血液を薄める薬

 

ジャーマンカモミール(German chamomile)

カモミールは弱い鎮静剤です。また胃のもたれや粘膜の荒れの治療に使われます。昔からこの花はお茶として飲まれています。

作用
GABA系神経伝達システムに働きかけるとされています。

効果
まだ不明な点はありますが、最近の研究で、軽い不安感ならば和らげることができると分かっています。

副作用
出血が長引いたり、エストロゲンに関係するがんの中でも乳がん細胞を増殖させるとみられています。

相互作用のある薬

  • 血液を薄める薬
  • 経口避妊(ピル)

 

ホップ(Hops)

乾燥ホップは不安障害や睡眠障害に利用されてきました。

作用
不明です。

効果
ある臨床試験でバレリアンとホップの組み合わせが睡眠障害に効果的であることが分かりました。

副作用
副作用の報告はありません。

相互作用のある薬
以下の薬と一緒に服用すると鎮痛作用が強まります。

  • 鎮痛剤
  • 睡眠導入剤
  • 他のハーブ薬
  • 酒類

 

オーツ麦(Oats)

オーツ麦はコレステロール値を低げたり、過敏性腸症候群などの胃腸障害に対して利用されています。また、不安障害や疲労にも使われています。アルコールやニコチン依存症への利用も考えられています。

作用
不明です。

効果
不明です。

副作用
今のところないようです。

相互作用のある薬
今のところないようです。

スターフラワー(ボリジ油)(Starflower)

スターフラワー油は関節リウマチ、月経前緊張症(Premenstrual Syndrome; PMS)や鎮静に利用されます。

作用
不明です。

効果
不明です。

副作用
一部のエキスによって肝臓障害や、おそらく肝臓がんを引き起こすこともあります。妊娠中は服用を避けるべきです。てんかん発作の増加も考えられます。

相互作用のある薬
アスピリン、イブプロフェン、ワーファリンなどの血液を薄める薬。

レモンバーム(Lemon balm)

レモンバームはハッカの一種です。不安障害、睡眠障害、月経過多や生理痛に利用されます。認知症の興奮状態の治療にも使われます。レモンバームはお茶やエキスの形で利用されます。また精油はアロマセラピーに利用されます。

作用
脳内の神経伝達物質に作用するようです。

効果
認知症における鎮静効果の報告があります。不安障害と睡眠障害に関しては研究結果がありません。バレリアンとホップとの併用が睡眠障害には効果があります。

副作用
ほとんどありません。

相互作用のある薬
以下を併用すると鎮静剤の効果が強まります。

  • 鎮静剤
  • ハーブ
  • 酒類

 

ラベンダー(Lavender)

ラベンダーもハッカに属します。数滴のラベンダーオイルや種を枕に垂らすと睡眠を助けます。アロマセラピーに使用されたり、エキスやお茶として利用されます。

作用
不明です。

効果
アロマセラピーに利用される際は弱い鎮静剤としての効果があるようです。

副作用
皮膚の炎症

相互作用のある薬
以下を併用すると鎮静剤の効果が強まります。

  • 鎮静剤
  • ハーブ
  • 酒類

 

バッチフラワーレメディー

いくつもの花を組み合わせて作られたエキスで、不安障害やパニック症状、心的外傷の治療に使われます。

作用
不明です。

効果
十分な科学的根拠はありません。

副作用
不明です。

併用を避けるべき薬
不明です。

メラトニン

メラトニンは脳の底部にある松果体と呼ばれる器官で作られるホルモンです。体内時計を司ります。55歳以上の方に対しては、かかりつけ医が処方できます。薬の商品名はサーカディン(Circadin:日本では未承認)です。

作用
体内時計の調節に作用します。

効果
年配の方の睡眠の質をよくします。

副作用
眠気、気分の落ち込み。

相互作用のある薬
血液を薄める薬
以下の薬と併用すると鎮静効果が強まります:

  • 鎮静剤
  • ハーブ

 

アミノ酸

ストレスや不安を和らげるために、L-アルギニンとL-リシンという2種のアミノ酸が使われています。

作用
ストレスを感じると放出されるホルモンを調整しながら作用します。

効果
わずかな研究結果しかないため、不明です。

副作用

  • L-リシン:重度の腎臓障害の報告があります。
  • L-アルギニン:心筋梗塞を起こしてすぐにこの薬を飲んで死亡したという症例が数件報告されています。不安な方は服用を避けるか、心臓病の専門医にまず相談してください。

相互作用のある薬

  • L-リシン:カルシウム剤
  • L-アルギニン:血圧を下げる薬と硝酸塩(ニトログリセリン)。これらの薬と組み合わせて飲まないように気をつけてください。血圧が下がり過ぎることがあります。バイアグラなどの薬との組み合わせですら血圧が下がり過ぎることがあります。

 

ローズルート

ローズルートは「イワベンケイ」や「ロディオラ」として知られています。また、いわゆる「アダプトゲン」とも呼ばれ、服用するとストレスや不安、疲労に対して体がより強くなるとされます。ローズルートはエネルギー増進剤としても使われ、アスリートの運動能力を向上させます。

作用

  • 不明です。ローズルートの成分の一部は、ストレスを感じると分泌されるホルモンを調整するのかもしれません。また、一部には弱い刺激作用があるようです。
  • 抗酸化作用もあります。

効果
現時点では分かっていません。効果を証明するには、さらなる研究が必要です。

副作用
主だった副作用は報告されていません。めまいや口の渇きといった症状があるかもしれません。

相互作用のある薬
何も報告されていません。

ビタミン、微量元素、サプリメント

ある種のビタミンや微量元素、サプリメントは不安障害に効果的とされています。しかし現時点では、それを証明できるほどの研究はなされていません。たいていの研究は、個々の物質ではなく数種の物質を組み合わせて評価しているため、どの物質にどういった作用があるか判断するのが難しいのです。

食品安全管理局(Food Standard Agency)はビタミン、微量元素、サプリメントについての詳しく説明したウェブサイトを公開しています。

うつ病と双極性障害

以下の治療薬などが使われています。

  • セント・ジョンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)
  • S−アデオシル−メチオネン
  • 葉酸
  • セレン
  • オメガ3脂肪酸


双極性障害(躁うつ病)においては、オメガ3脂肪酸を服用すると再発の可能性が低くなると言われています。天然リチウムを購入する方もいますが、一錠あたりのリチウム含有量が処方薬のリチウム製剤よりずっと少ないためお勧めしません。またリチウム服用中は、服用量に関わらず、定期的なチェックが必要です。
 
うつ病の治療には、大抵の場合、セロトニンを作り出す基になるサプリメントが使用されます。セロトニンは脳内にある神経伝達物質の一つで、うつに関係しているとされます。L-トリプトファンはこの種のサプリメントの一つですが、安全性はまだ定かではありません。

セント・ジョンズ・ワート(St John's wort)

ちょうど花の開花シーズンの6月24日のセント・ジョンの日にちなみ、この名前が付けられました。この花を潰すと出る赤い染料(hypericin)がその有効成分だと長い間考えられてきました。しかし最近の研究によって、他の要素(hyperforin)がうつに効果があると分かってきました。セント・ジョンズ・ワートは不安障害、依存症、また月経前緊張症の治療にも有効であると言われています。

作用
脳内のセロトニンを増やします。

効果
多くの臨床試験で、有効性が示されています。

副作用
セント・ジョンズ・ワートを服用していると日焼けしやすくなるかもしれません。心配ならば日焼け止めクリームをご使用ください。双極性障害の方は躁状態になる可能性があります。

相互作用のある薬

  • 抗うつ剤
  • 強力な鎮痛剤
  • 経口避妊薬(ピル)の効果が弱くなります。
  • 一部のがん治療薬

以下の薬の効果を弱めます:

  • カルバマゼピンのような一部のてんかん治療薬
  • ジゴキシン
  • ワーファリン
  • HIVの治療薬
  • 一部のがん治療薬


臓器移植手術を受けた方がセント・ジョンズ・ワートを服用すると、移植臓器の拒否反応を起こす場合があります。

S-アデノシル-メチオニン

S-アデノシル−メチオニン(S−Adenosyl-methionine、SAME)もセロトニンを作る基になる成分です。英国ではあまり利用されていませんが、ヨーロッパやアメリカではよく使われています。また副作用がほとんどないためにHIV陽性の方へもよく使用されています。注射での投与が一般的で、経口薬もありますが効果が期待できません。SAMEは治療費が高くなりがちです。

作用
セロトニンや他の神経伝達物質を作り出します。

効果
抗うつ効果があることが、2件の臨床試験で示されています。

副作用
双極性障害の方は、躁状態になる可能性があります。

相互作用のある薬

  • 抗うつ剤
  • 強い鎮痛剤

 

葉酸

葉酸は、妊娠を希望する女性や妊婦が、二分脊椎(赤ちゃんの脊柱の形成異常)を予防するために使われます。国によっては、小麦粉の中に葉酸を混ぜているところもあります。

作用
セロトニンや他の神経伝達物質を作る基になる物質です。

効果
一部の抗うつ剤の効果を増強するとみられています。

副作用
ビタミンB12不足に起因する悪性貧血の診断を難しくしてしまうかもしれません。多量に摂取すると興奮、睡眠障害、混乱、けいれん発作を引き起こす可能性があります。

相互作用のある薬

  • 一部の抗がん剤
  • 一部の抗生物質

 

セレン

セレンは重要な微量元素の一つで、野菜、肉、魚およびブラジルナッツに含まれています。ブラジルナッツに含まれているセレンの量は様々ですが、概して含量があまりに高いので、米国国立衛生研究所はブラジルナッツの食べ過ぎには注意を呼びかけています。食品衛生管理局は安全な1日の最高摂取量を0.45mgとしています。製剤によってはこの量を超えていることがあります。

作用
セレンは抗酸化作用があり、細胞が傷つくのを防ぐ可能性があります。また甲状腺ホルモンの分泌を助長します。

効果
不明です。

副作用
吐き気、嘔吐、爪の変化、イライラ、体重減少、抑うつ、混乱、肝臓や肌の変化

相互作用のある薬

  • コレステロールを下げる薬
  • ビタミン製剤

 

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は主に魚から摂取され、心臓や関節の疾病の予防に使われます。またうつにも効果的です。オメガ3脂肪酸の主な二つの成分は、ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)です。錠剤は大きいことが多く、飲み込みにくいと感じる方もいます。ビタミンA中毒にかかる可能性があるため、ビタミンAが付加された製剤は避けてください。

作用
不明です。

効果
抗うつ剤と併用したほうが望ましいです。双極性障害の再発を防ぐ働きがあるかもしれません。しかしながら、抗うつ剤や気分安定剤の代わりとして薦められるほどの科学的根拠はありません。

副作用
不明です。

相互作用のある薬
血液を薄める薬

精神病

選択肢は多くありません。インド原産の植物であるインドジャボク(Rauwolfia)が利用されていますが、抗精神病薬ほど効き目はありません。インドジャボクから作られた薬のレセルピン(Reserpine)は、うつを引き起こす可能性があるため、すでに英国では使われていません。

オメガ3脂肪酸は抗精神病薬と共に服用されることがありますが、その効果の科学的根拠はありません。抗精神病薬の服用で体重が増えると、心臓と血圧の病気のリスクが高くなります。オメガ3脂肪酸はこのようなリスクを低くするかもしれませんが、効果のほどは確立されていません。

運動障害

古くから処方されている抗精神病剤の多くは、遅発性ジスキネジアという運動障害を引き起こすことがあります。その場合は、抗精神病薬の服用量を減らすか、他の抗精神病薬に変更してもよいでしょう。

補完代替医療としては、ビタミンE、メラトニン、そしてイチョウ葉エキスが考えられます。

ビタミンEは、運動障害の悪化を防ぐ効果があります。しかし、長期間の服用、特に一回の服用量が多量の場合、効果と副作用を天秤に掛けて考えましょう。

メラトニンも試用されましたが、はっきりした効果は見られませんでした。

最近の研究では、イチョウ葉エキスが遅発性ジスキネジアを軽くし、その服用を止めた後もしばらくは効果が継続することが明らかになりました。しかし、前述の通り、出血を引き起こすリスクが高まることから、健康を損なうダメージがあるかもしれません。

依存症

利用できるものは限られます。バリウムのような精神安定剤を止めようとしている方は、バレリアンを服用することで、睡眠障害が改善されるようです。ただ、十分な研究はなされていません。ある小規模な研究では、パッションフラワーは、クロニジンと共に服用すれば効果があると分かりました。セント・ジョンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)がアルコール依存症の方のお酒が飲みたくなる気持ちを抑えるとも言われています。

他の治療薬   

  • イボガ

葛(Kudzu)

葛は「Japanese arrowweed」とも呼ばれ、香りのよい花をつけます。更年期障害からアルコール障害まで、様々な医療分野で用いられています。

作用
禁酒中に感じる不安を和らげるようです。

効果
ある報告では、大量にお酒を飲む方の飲酒量を減らしたとありますが、他方では、飲酒への強い欲求を抑える効果はないともあります。

副作用
報告はありません。

相互作用のある薬

  • 血液を薄める薬
  • 経口避妊薬(ピル)
  • 糖尿病の薬

イボガ

イボガは西アフリカにみられる低木で、イボガインの元となる植物です。幻覚を引き起こし、宗教の儀式でよく利用されます。1960年代にアヘン依存症の治療薬として有名になりました。しかし、命にかかわるほどの副作用が起こることがあります。安全性が確認されるまでは、お勧めしません。

作用
脳内の神経伝達物質のいくつかに働きかけると思われます。

効果
薬物依存を断ち切り、その状態を保つのに役立つようです。

副作用
1990年から2006年までの間で、イボガイン服用後の死亡が12件報告されています。死に至るリスクは治療300件中1件と高く、実際には何人が死亡したか不明です。公的にはイボガインによる治療は行われないため、報告されていないものもあったのかもしれません。

相互作用のある薬

  • イボガインと同様の神経伝達物質に作用する薬

 

スペシャリストの見つけ方

十分に経験のあるスペシャリストは簡単にはみつかりません。かかりつけ医や精神保健のスペシャリストへ相談するとよいでしょう。

地域の薬の情報サービスや補完治療に精通しているスペシャリストに問い合わせたり、またはかかりつけ医や病院で紹介されたサービスを利用するのもよいでしょう。英国メディカル・ハーバリスト協会に所属しているハーブ・セラピストもいます。きちんとトレーニングを受けており、たいていの場合、自費診療(プライベート)の施設で診療しています。ただし、ほとんどが医師の資格は持っていません。

参考になるウェブサイト

MedlinePlus:米国国立衛生研究所が運営しているウェブサイトです。ホームページに検索機能があり、キーワードを入力すると情報を検索できます。「alternative medicine(代替医療)」や「drug information(薬情報)」といったキーワードを入れると、関連するウェブサイトに移動します。
 
世界保健機構(World Health Organisation):このウェブサイトは、世界中の代替補完治療についての情報が掲載されています。アルファベット順のリストがあるので、Acupuncuture(鍼灸)Plants medicinal(薬用植物)などのキーワードで検索してみてください。

The Food and Mood Community Interest Company(旧名称 The Food and Mood Project):1998年にMind Millennium Awardによって創設され、利用者によってウェブ上で起業・運営されています。個人・団体に向けて、DIY Food and Mood WorkshopパックやThe Food and Mood Handbookといった、食に関するセルフ・ヘルプ用の資料を販売しています。

食品安全管理局(Food Standards Agency):この英国のウェブサイトには様々な情報が含まれているため、利用しづらいかもしれません。ホームページからメニューにあるnutrition(栄養)をクリックし、そこから進んでください。または、ホームページの検索欄に「recommended daily intake(1日の推奨量)」と入力してみてください。

米国補完代替医療センター・国立衛生研究所(National Centre for complementary alternative medicines / National Institute of Health):このアメリカのウェブサイトには、代替医療に関する包括的な情報が載っています。ウェブサイト内をいろいろと閲覧するのも容易です。特筆すべきは、臨床試験登録制度で、アメリカの医療研究の概要がわかります。これはコクラン・コラボレーションなどの、他の臨床試験のデータベースからの情報と合わせてみて見る必要があります。安全性についての重要な最新情報は、news and eventsを参照ください。
 
米国包括医療データベース(National Medicines Comprehensive Database):購読の登録をした方のみが閲覧できるウェブサイトで、あらゆる自然療法に関する総合的な情報を非常に細かく提供しています。科学的な文献との照合もされ、自然のものから作られた薬の効果や、薬との相互作用のチェックができる機能もあります。また病状による検索や、特定の話題に関して学べる教材も提供しています。患者向けの資料もダウンロードできます。
 
Quackwatch:健康に関する詐欺や、作り話、流行、誤信、違法行為の撲滅のために活動する非営利団体。このウェブサイトは、馴染みのない治療を勧められたり、多額の代金の前払いを求められたりした際に役立ちます。このサイトを挑発的で懐疑的すぎると感じる方もいるかもしれませんが、Cheers and jeersのセクションからどのようなサイトかをご覧ください。

 

参照文献

一覧はこちらをご覧ください。

 

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